inspectionFY2007
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1 1.1.1.1.はじめにはじめにはじめにはじめに 本プログラムは、アジア・アフリカ地域の持続的発展に関する学際的研究を、グローバルで長期的な視野から、多面的に行うために創出された。われわれは、アジア・アフリカの地域研究に携わる研究者と、先端技術の開発に関わる科学者との学問的対話を促進するために、「持続型生存基盤パラダイム」という新しい考え方を提案し、地球温暖化のアジア・アフリカの地域社会への影響といった緊急の課題に対応しつつ、ローカルな、あるいはリージョナルな持続的発展径路を追究したいと考える。 本プログラムの主幹部局である東南アジア研究所は、強い学際的な志向を持った京都大学の地域研究の伝統のなかで発展してきた。本プログラムは、アジア・アフリカ地域研究研究科が東南アジア研究所と協力して行った21世紀COEプログラム(2002-2007年)の成果を受け継ぎ、フィールドワークと臨地教育にもとづく大学院教育を継続するとともに、「持続型生存基盤コース」を新設し、若手研究者の養成を図る。さらに、生存圏研究所などから森林科学・木質科学、気象学・大気圏科学、物質循環論、エネルギー科学など「サステイナビリティ学」に関連するハードサイエンスの領域を加えて、地域研究における科学的研究の幅を広げる。それによって、先端科学技術の知識を、伝統的な地域研究を支えてきた生態学、政治学・経済学、社会学・人類学、歴史学、医学の知識と融合させ、これまでの体制よりもはるかに幅広い人文科学、社会科学、自然科学の諸分野につうじた地域研究の専門家や科学者を養成する。 初年度の仕事は、7月にキックオフ・ミーティングを行い、夏期休暇中に事務局を立ち上げて運営体制を構築し、助教、研究員5名を国際公募によって採用することで始まり、3月の第二回公募でその数を合計9名に増やすとともに、初年度を総括する国際シンポジウムを開催することで終了した。 9月以降、若手養成のためのプログラム策定、大学院教育の充実化、図書などの基盤整備が進められ、研究会活動が本格化し、ホームページなどの広報活動が充実するとともに、東南アジア、アフリカでの4回を含む、合計10回の国際シンポジウム、ワークショップの開催が実現した。これらの活動をつうじて、メンバーのあいだにパラダイム形成の方向が共有されつつあるように思われる。 もう一つの特筆すべき進展は、大学院アジア・アフリカ地域研究研究科において、持続型生存基盤研究講座を設置する方向での制度改革の努力が進められたことである。新専攻の設置など、今後の進展は概算要求の結果を待たねばならないが、本プログラムがその実現を約束した「持続型生存基盤コース」の新設よりもさらに本格的な制度化が大胆に試みられている。 このように、共同研究によるパラダイム形成と人材育成のための制度改革を両輪とする本プログラムの構想は順調なスタートを切った。次年度においては、個別研究をまとめたワーキングペーパーの刊行を本格化させるとともに、パラダイム形成においても最初の研究成果を出す予定である。 平成20年5月31日 拠点リーダー 杉原 薫

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