jikotenken_2012naito
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- 5 - 世界拠点の形成 2010年度に入って本プログラムのパラダイムに深く関係するいくつかのプロジェクトが立ち上がり、研究の裾野が広がるとともに、地域研究としての具体化が進んだ。例えば、「現代社会における『自然』概念を問う」と題して2009年12月に開催された本プログラムの第3回国際シンポジウムを組織した石川登氏は、熱帯バイオマス社会論の具体化を目指して「東南アジア熱帯域におけるプランテーション型バイオマス社会の総合的研究」(基盤研究S)をスタートさせた。また、中間的成果として刊行した単行本の編者の一人である田辺明生氏は、人間文化研究機構プログラム「現代インド地域研究拠点」の代表となったが、南アジアの生存基盤への関心は中心拠点である京都大学の研究活動の一つの核であり、2011年1月には同拠点と本プログラムとの共催で国際シンポジウムが開催された。2010年にリアウとハノイで開催した国際会議も、われわれのパラダイムの他国の研究グループとの実質的な共有を含むものであった。本プログラムは、このように、内外の地域研究の動向に大きな影響を与え始めている。 本プラグラムの開始時点では、生存基盤地域研究人材育成センターを、京都大学の将来構想と連動させ、持続型生存基盤パラダイムによる科学技術研究融合型地域研究の展開と戦略的な人材育成を目的とする京都大学地域研究グローバルユニット(仮称)として再編することを構想していた。しかし、現実にはその構想をはるかに超えて、すでに大学院アジア・アフリカ地域研究研究科のなかに持続型生存基盤論講座が新設されるとともに、持続型生存基盤論に関する多くの共同研究が内外で組織されている。本プログラム終了後の拠点・ネットワーク形成を担う特別経費事業「ライフとグリーンを基軸とする持続型社会発展研究のアジア展開」が平成23年度に開始されることが確定した。これらの新規プロジェクトがより多角的なニーズを満たすものとして構想されると確信している。

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