UCLAアジア・センター所長のビン・ウォン教授を招き、グローバルCOEの構想を理解していただいた上で、パラダイム形成への示唆となるような報告をお願いした。
教授は、China Transformed: Historical Change and the Limits of European Experience (1997)における財政・公共政策の歴史的理解をふまえて18世紀から現代までの議論を概観し、ヨーロッパで成立した主権国家やその上に作られた地域単 位としてのEUが、それぞれの地域住民の余剰を吸収して再配分する場合、その政治的思想的な根拠は歴史的径路依存性にもとづいたものであり、他の地域にも そのまま当てはまるような普遍性を持つわけではないことを指摘するとともに、それが世界政府の存在しない状況の下での世界公共財の配分の問題の困難さにも つながっていると論じた。
The Coalition for Rainforest Nationsの事例がひかれ、世界公共財とは区別された「地域公共財」の可能性についても議論された。