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背景

京都大学は、アジア・アフリカ地域を中心とする世界の発展途上地域を対象として、フィールドワークに基づく環境と社会に関する地域研究を世界で先導してきた。1964年に設置された東南アジア研究所は、地域研究の中核部局として、1998年、アフリカ地域研究センター(現アフリカ地域研究資料センター)と共に日本最初の地域研究に特化した大学院であるアジア・アフリカ地域研究研究科を設置した。同研究科との協力による21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成-フィールド・ステーションを活用した臨地教育体制の推進」においては、アジアに9ヶ所、アフリカに5ヶ所のフィールド・ステーションを設置し、教員が現地で指導にあたる臨地教育を推進した。その結果、大学院生の発表論文数や博士修了者数は飛躍的に増加し、フィールドワークを重視した国際教育研究拠点として高く評価されるに至った。また、2006年には、急速に進展する情報学の技術を取り入れた地域研究統合情報センターを新設した。その結果、京都大学は、地域研究4部局、専任教員約60名を有する世界屈指の文理融合型地域研究拠点へと発展した。本地域研究拠点の特徴は自然・人文・社会科学を包摂した総合的地域研究の推進と学際的教育研究体制の構築にある(下図参照)。
グラフ1国外を含む多数の志願者から選抜された大学院生は、自然生態、社会文化、政治経済に関する多様な講義を受講し、研究分野の異なる3人の指導教員から研究指導を受けることにより、地域研究に関する学際的な知識と思考方法を習得する。2002年度に最初の博士修了者を出して以来、2006年度末までに計49人の博士修了者、25人の単位取得認定退学者(いずれも予定を含む)を輩出した。卒業生は、国内外の大学・研究機関のみならず、国際機関や行政機関、民間企業などに就職し活躍している。研究水準については、多数の国際誌掲載論文・受賞・国際会議での講演に顕著に示されているように、国内外で高く評価されている。これらの研究活動を支えているのが現地語資料コレクション(下図参照)グラフ2とフィールド・ステーションを含む海外拠点である。
一方、人類や生物の生存基盤を支える生存圏科学を地表から宇宙までの空間的広がりをもって推進するために、京都大学では2004年、生存圏研究所を設置し、全国・国際共同利用研究所として、自然科学を中心とした学際的総合研究と大学院教育を推進している。2004~06年度までの博士学位取得者数は40人、現在38人のポスドク研究員を採用し生存圏研究を推進している。また、インドネシアにおける木質科学研究連絡所、赤道大気レーダー、熱帯人工林研究フィールドなど、世界屈指の海外拠点を設置して教育研究活動に活用するとともに、生存基盤科学研究ユニットの設置(2006年)を主導し、関連分野の融合に尽力している。

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