杉原薫 プログラム代表
本プログラムは、アジア・アフリカ地域の持続的発展に関する学際的研究を、グローバルで長期的な視野から、多面的に行うために創出されました。われわれは、アジア・アフリカの地域研究に携わる研究者と、先端技術の開発に関わる科学者との学問的対話を促進するために、「持続型生存基盤パラダイム」という新しい考え方を提案し、地球温暖化のアジア・アフリカの地域社会への影響といった緊急の課題に対応しつつ、ローカルな、あるいはリージョナルな持続的発展径路を追究したいと考えます。
本プログラムの主幹部局である東南アジア研究所は、強い学際的な志向を持った京都大学の地域研究の伝統のなかで発展してきました。本プログラムは、アジア・アフリカ地域研究研究科が東南アジア研究所と協力して行った21世紀COEプログラム(2002-2007年)の成果を受け継ぐとともに、生存圏研究所などから森林科学・木質科学、気候学・大気圏科学、物質循環論、エネルギー科学など「サステイナビリティー学」の専門家を加えて、地域研究における科学的研究の幅を広げます。それによって、先端科学技術の知識を、伝統的な地域研究を支えてきた生態学、政治学・経済学、社会学・人類学、歴史学、医学の知識と融合させることによって、これまでの体制よりもはるかに幅広い人文科学、社会科学、自然科学の諸分野につうじた地域研究の専門家や科学者を養成します。
こうした試みは、国際的に見ても例のない、知のフロンティアへの挑戦であると同時に、地域社会にとって喫緊の課題とも直接の関わりを持つ、実践的な性格も持っています。本研究の成果は、英語、日本語、さらに重要なものについては他のアジア諸言語でも発表する予定です。
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