日 時:2008年2月16日(土) 15:00〜18:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 共同棟3階講義室(307)
京都市左京区吉田下阿達町46 (川端通り荒神橋東詰)
■報告1
森田敦郎(東京大学大学院総合文化研究科・助教)
「空間の再編としての工業化:タイにおける土着の機械技術の発展と社会性の生成」
■報告2
松村圭一郎(京都大学大学院人間・環境学研究科・助教)
「市場経済化と空間/集合性の再配置:エチオピア農村社会の行為をみちびくモノ・人・場をめぐる歴史過程」
コメンテーター:加藤剛(龍谷大学社会学部教授)
【報告要旨1】
「空間の再編としての工業化:タイにおける土着の機械技術の発展と社会性の生成」
人類学や社会学では、工業化は社会の空間的編成をローカルな場所に基づくものから普遍的な空間に基づくものへと変化させると考えられてきた。ギデンスの良く知られた「時間と空間の距離化」はこうした議論の代表である。
これに対して、本発表では、タイにおける土着の機械技術を取り上げて、機械工業は人とモノの移動に基づくローカルでも普遍でもない「第三の空間」を生み出してきたことを明らかにする。第三の空間における人とモノの移動が生み出すダイナミズムは、技術発展の母体となるとともに人々の間に新たな社会性を生み出していった。このダイナミズムに焦点を当てながら、本発表では工業化を空間の再編として捉えるアプローチを提案する。
【報告要旨2】
「市場経済化と空間/集合性の再配置:エチオピア農村社会
の行為をみちびくモノ・人・場をめぐる歴史過程」
農村社会における「市場経済化」とは、どのようなプロセスとして理解できるのか?
近年、ミクロな実践や相互行為への注目を強める人類学の潮流のなかで、社会変化という大きな歴史上の「変化」をいかにミクロな行為と結びつければよいのか、20世紀半ばからコーヒー栽培が進展してきたエチオピア農村社会の事例から考えてみたい。市場経済化を、ひとつの転換としてではなく、人びとの日常的行為をみちびくモノ・人・場というコンテクストが再配置されてきた過程として描く。
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