日 時:2008年6月13日(金) 18:00開場 (18:30 開始)
場 所:京都大学 総合研究棟2号館(旧工学部4号館)4階会議室(AA447)
会場までの道のりは、以下のアクセス・マップをご覧下さい。
アクセスマップ:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja
【演題】
漢字/帝国:文字の歴史人類学へむけて
【発表者】
中谷一氏(マギル大学准教授 美術史・コミュニケーション学科、東アジア学科兼任)
【コメンテーター】
安岡孝一(京都大学人文科学研究所准教授)
【要旨】
ジャック・デリダの音声中心主義批判以来、書かれたものを「生きた」言葉に対して本質的に劣ったものとするような見方は影を潜めてきた。人類学でも、ジャック・グディーやピエール・ブルデュー、日本では川田順造等の先駆的研究以降、語ることと書くことをそれぞれ独自な秩序を形成するものとしてとらえ直そうとする優れた研究に事欠かない。しかしこうした西洋音声中心主義に対する反省にもかかわらず、語られたものと書かれたものとの間にひかれた分割線それ自体の文化的・歴史的な局所性、つまりその分節の仕方そのものが特殊近代西欧的であるという可能性はおおかた不問に付されてきた。本研究では、中国における漢字の歴史的了解を対象に、文字とことばのこういった分節を再検討することをめざす。具体的には、現代中国アートなどにあらわれる漢字の表象を例にとりながら、そこに垣間見られる漢字了解が我々の抱く「文字」の観念とは相当にずれているさまを検討し、その一見奇妙な文字把握の方がかえって伝統的な漢字観をより正確に近似している可能性を考えてみたい。こうした考察は中国における漢字観の歴史への方法的準備体操のようなものにすぎないともいえるが、同時にことばと文字の関係の歴史人類学的再考へむけてのささやかな第一歩ともなればよいと思う。
【備考】
*事前の参加予約は必要ありません。
*当日は、資料代として200円をいただきます。
*京都人類学研究会は、京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ大学院生・研究者がその研究成果を報告する場です。どなたでも自由に参加いただけます。
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