日 時:2008年7月4日(金)14時開始(13時半開場)
場 所:総合地球環境学研究所 講演室
アクセスは下記リンク先をご参照ください
http://www.chikyu.ac.jp/rihn/access/index.html
【プログラム】
趣旨説明:
秋道 智彌・門司 和彦(総合地球環境学研究所)
話題提供1:
「納豆の伝播」
横山 智(熊本大学文学部)
話題提供2:
「雨緑樹林の自然と共生系」
加藤 真(京都大学大学院人間・環境学研究科)
総合討論:
「生態史研究会の目指すもの」司会:横山
懇親会(18時ごろから):
地球研ダイニングホール(会費1000円程度)
【趣意書】
From Chains to Networks 「東南アジアの生態史研究会」の発足
総合地球環境学研究所の「アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945~2005」が、2008年3月末をもって終了しました。このプロジェクトには、秋道教授をリーダーに自然科学、人文科学、社会科学、医科学、情報科学などを専門とするのべ100名を超える研究者が参加しました。
メンバーの協働で、プロジェクトは多くの成果を残しました。学術的な研究成果のみならず、現地でワークショップを開催したり、一般向けの書籍を刊行したりすることを通して、東南アジア大陸部および国内の人々に分かりやすい言葉で研究成果を伝える努力を実践してきました。このような外部的に評価される成果に加えて、プロジェクトのメンバーにとっても、新たな研究者同士の「つながり」が構築されたという成果があったと思います。とくに、5月に出版された3巻から成る論集『モンスーンアジアの生態史』では、同じプロジェクトにいるにも関わらず、お互いの研究内容すらよく分かっていないメンバーでひとつの章を共同執筆するなど、新たな試みにチャレンジしてきました。
そこで、5年間のプロジェクトで築かれた研究者の「つながり」を終わらせることなく、今後も協働できるような「緩やかな紐帯」を維持してする提案が、3月に開催された総括会議の席上で門司教授から出されました。個人的な話になりますが、このプロジェクトは、地方国立大で東南アジアを研究する同僚が一人もいない組織で働いている私にとって、最先端で活躍する研究者と知り合う絶好の機会でした。皆さんから多くの刺激をもらうことができ、このプロジェクトで築いた「つながり」を何とか維持したいと考えていました。私にとって門司教授からの提案は願ってもいないものだったので、すぐに研究会の発足に向けて具体的に詰める作業を開始しました。そして、西本さんなどの協力のもと、何とか第1回目の「東南アジアの生態史研究会」を開催する運びになりました。
この研究会では、プロジェクト・リーダーの秋道教授からも「生態史構築」というプロジェクトの主要テーマを深化させることに加え、自然生態・文化生態・人類生態などの研究分野に限定することなく、新たな視点からの東南アジア研究を展開していきたいという意見を頂いています。すなわち、「インキュベーター」として新しい視点からの東南アジア研究を産むような役割をこの研究会では担っていくということです。ご存じのように、東南アジアに関する研究会は、京都大学で「東南アジアの社会と文化研究会」と「東南アジアの自然と農業研究会」が開催されておりますが、できればもっと大きな枠組みで、照葉樹林文化論を捉え直すとか、健康・病気・人口・栄養の観点を組み入れるとか、メンバーの皆さんが興味を持っていることを、多様な視点から議論できるような場にしていくことが求められています。当然、既存の研究会とも併存できるように、それぞれが連携しながら研究会を運営していくことも視野に入れなければなりません。
これまで、生態史プロジェクトの各班は、情報や知識を班ごとに共有していました。それは、班をベースとした「つながり」と言えるでしょう。最終的には、論集の執筆を通して「つながり」を「ネットワーク」にするための試みを行ないましたが、未だその「ネットワーク」は完全ではありません。さまざまな場所で開催されている研究会も、その研究会内部で「つながり」を形成してきましたが、「ネットワーク」は形成されていません。また、東南アジアという地域をみても、山地部の研究者同士の「つながり」はありますが、島嶼部の研究者たちとの相互ネットワークは築かれていません。生態史プロジェクトやさまざまな研究会の中で築かれてきた「つながり」を、蜘蛛の巣のように張り巡らせて「ネットワーク」を構築する必要があると思います。
「つながりからネットワークへ From Chains to Networks」の転換を、多分野の研究者が関わった生態史プロジェクトのメンバーから発信する場をここに持ちたいと考えています。
東南アジア生態史研究会 運営委員
横山 智(熊本大学文学部)
【備考】
事前の参加予約なし
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