要旨:
アフリカ大陸に程近い、インド洋西端に浮かぶマダガスカルでは、古くからアジアイネが栽培されている。近年、このアジア稲作圏の西端において、System of Rice Intensification (SRI) と呼ばれる水稲多収農法が見出された。この農法を適用することで、大幅な増収のほか、化学肥料や灌漑水の節約が可能であるとされる。
そのため、資源投入力に乏しい地域での生産性改善策として非常に期待が高まっている。一方で、報告されている15t/haを超えるような多収記録やその増収効果について疑問を投げかける声も大きく、現在まで国内外で議論が続いてきた。
このSRI稲作技術はかつての「米作日本一」の農家など、日本の篤農稲作技術と多くの点で類似性が認められる。このような精緻な稲作を行うマダガスカルの農民はどのような人たちであろうか。
この技術の中に、現在停滞しているアジア・アフリカ途上国の稲作改善の糸口が見つかるのではないか。本発表では、マダガスカルの在来稲作を簡単に紹介しながら、21世紀の食糧生産においてSRIが果たしうる役割について考えてみたい。
(*会終了後には懇親会を行います。こちらも奮ってご参加ください。)
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