日 時:12月3日(水)18:00~20:00
場 所:京都大学吉田キャンパス総合研究2号館(旧工学部4号館)4階会議室(AA447号室)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/tariqa_ws/access_map.pdf
主催: 京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS);
京都大学G-COE「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ1/4
プログラム
発表1
「持続型生存基盤パラダイムの創成ー環境・政治・経済を総合する新しいアジア研究ー」
杉原薫(京都大学東南アジア研究所教授)
発表2
「発展するイスラーム地域研究の地平:ネットワーク型研究拠点形成と大学院教育」
小杉泰(京都大学イスラーム地域研究センター長)
発表3
「躍動するインドの新しい姿と南アジア研究の今後」
田辺明生(京都大学人文科学研究所准教授)
発表4
「スーフィズム/タリーカ研究における文献研究とフィールドワークの技法」
東長靖(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)
総括討論
司会 藤倉達郎(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)
詳しくは、http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/meeting.htmlをご覧ください。
【活動の記録】
はじめに「持続型生存基盤論講座」を代表し、杉原薫氏が発表を行った。発表者はまず、グローバル化の進展やアジア・アフリカ地域の発展が進んでいる今日、もはや温帯を中心とした従来のパラダイムでは世界を捉え切れない。それゆえ、パラダイムの基盤を従来の温帯中心から熱帯中心へ、そして土地所有や国境に見られる「地表」から人間生活に影響を及ぼす空間全体を研究対象にする「生存圏」へとシフトしていくことが求められると述べた。
次に「イスラーム世界論講座」を代表し、小杉泰氏が発表を行った。発表者は10年間の ASAFASでの大学院教育を振り返り、現代における地域の特性や独自性を論じる「地域研究」という学問領域が徐々に浸透している点を紹介した。さらに近年のASAFASやKIAS(京都大学イスラーム地域研究センター)の活動から、世界を主導する研究の推進や若手研究者の研究を推進する基盤が徐々に整備されてきていると指摘した。来年度からの「グローバル地域研究専攻」は、地域研究の発展にさらに寄与するものであると発表者は締めくくった。 次に「南アジア・インド洋世界論講座」を代表し、田辺明生氏が発表を行った。発表者はまず、現代の南アジアが置かれた状況を、インドを中心に政治・経済・社会に関するさまざまな統計データを用いて紹介した。そこから、南アジアが今日、政治・経済・社会・思想が密接に関わり合う形で躍動し、今後の世界のなかで極めて重要な役割をはたすようになると述べた。その上で、研究の分野でも世界全体に寄与するさまざまな有益な研究を南アジアは提供してくれる点を指摘し、今後の南アジア研究の可能性を発表者は具体的な事例を示しながら紹介して締めくくった。
最後に文献研究の立場を代表し、東長靖氏が発表を行った。本発表は思想研究を専門とする発表者が10年間行ってきた大学院での指導を振り返り、地域研究における文献研究とフィールド研究の架橋の可能性について述べた。そこでは、将来の地域研究者はフィールドワークに特化するだけでは不十分であり、逆に文献に特化するだけでも不十分である。両者を「またぐ」ことが理想の地域研究者であることを、具体的な逸話や資料を紹介しながら述べていった。
それぞれの発表後、各自の発表者に対しての質問や、これからの地域研究のあり方について、違った地域や視点から多様な質問が出された。これらの議論は、今後の地域研究への期待で満ち溢れるものであった。
安田 慎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
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