南部アフリカ地域研究会(2008/12/9)
南部アフリカ地域研究会のお知らせ 【日時】12月9日(火)17:00~18:30
【場所】稲盛記念館3階 小会議室1 (330)
【発表者】松本(長倉)美予
【発表タイトル】「レソト山岳地の生業変遷―南アフリカ鉱山への出稼ぎ労働との関わり―」
【要旨】
レソト東部に広がる山岳地はかつて夏季の移牧先であったが、1800年代末より定住する人口が増加した。山岳地は放牧地が広く、人々はより多くの家畜を所有することができたため、ヤギや羊の毛を売って大きな現金収入を得た。一方、低地では徐々に南アフリカ鉱山への出稼ぎ人口が増え、'30年代には南アフリカの"Labour Reserve"と呼ばれるほど多くの出稼ぎ労働者を送っていた。'60年代、その波は山岳地にも押し寄せ、若い男性は経済的な必要性がなくても鉱山へ行くようになった。しかし'90年代、金価格の下落や賃金の引き上げなどの要因から大量のレソト人が国に帰されはじめた。
現在、山岳地の調査村では、87%の世帯が農耕、46%が牧畜、そして43%が出稼ぎに携わっている。そうした現在の生業形態が形成された背景を考察するため、2月の調査では出稼ぎ労働に焦点をあて、ライフヒストリーに関するインタビューを行なった。その結果、現在60歳代までの男性の多くは20代~40代に出稼ぎ労働を経験しており、その収入は生活用品や衣類の購入にあてられたほか、牛や羊などの家畜の購入にも使用された。しかし'90年代以降は鉱山での働き口が減り、同時に家畜泥棒が増加し、家畜を根こそぎ盗られて現金収入源をなくした世帯もあった。今回の発表では、こうした調査結果を報告し、様々な助言をいただきたい。
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