日 時:2009年4月19日(日) 13:00~
場 所:総合研究2号館(旧工学部4号館)4階東側・大会議室(AA447)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html
主催:ドバイ移民研究会 共催:映像なんでも観る会、フィリピン社会研究会
連絡先:石井正子
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フィリピン映画『フロール事件』『サラ・バラバガン事件』上映
フィリピン人の移民の歴史に記される二つの事件を題材にした映画を同時上映します。
1995年、シンガポールでフィリピン人家事労働者デリア・マガとその雇用者の子どもが殺されました。この殺人事件の容疑者として起訴されたのが同じフィリピン人の家事労働者でデリア・マガの知人であったフロール・コンテンプラシオンでした。フィリピンでは冤罪説がもちあがり、フロール救援の運動が起こったのにもかかわらず、フロールは死刑に処されました。死刑に抗議して、マニラのシンガポール航空の事務所に手榴弾が投げつれられるなど、国内は騒然となりました。その後、相互の大使を召喚するという外交問題に発展し、フィリピンの外貨獲得最大の収入源である出稼ぎ労働者を十分に保護していないという声がラモス政権に向いて、ロムロ外相が更送されました。
その6ヵ月後に死刑宣告を受けたのがサラ・バラバガンでした。サラはアラブ首長国連邦で家事労働者をしていましたが、雇用主に強姦されそうになり、ナイフで雇用主を刺し殺しました。当時サラはたった15歳のムスリムの少女でした。裁判でサラは雇用者に強姦されそうになったため自己防衛ために殺害したと供述しましたが、再審では殺人の評決が下され死刑が宣告されました。しかし、フロールの死刑の直後であったため全国的な支援運動が展開され、国際的な支援ネットワークも形成された結果、サラの実刑は1年の懲役と鞭打100回、及び41,000米ドルの補償金支払いに軽減されました。ラモス大統領の交渉の結果懲役は3ヶ月に縮められました。
この二つの事件は、フィリピン海外労働者の人権侵害の問題が、政権を揺るがす事態に直結するということを如実に示しました。それらの事件を映画化したジョエル・ラマガン監督による二つの作品を見比べることで、当時の状況などを振り返りたいと思います。コメンテーターに、フィリピンの政治をご専門とし、フィリピンの映画事情にも詳しい内田晴子さん(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)をお迎えします。二作品ともフィリピノ語での上映になります(字幕はありません)。
<上映作品>
1.The Flor Contemplacion Story(邦題「フロール事件」)
ジョエル・ラマガン監督 1995(123min)タガログ語(フィリピノ語)
主人公のフロールを、国民的女優ノラ・オノールが演じる。フィリピン最大の映画祭「メトロマニラ映画祭」では最優秀賞に選ばれたほか、日本でも1996年に福岡国際映画祭に出展された。
2.The Sarah Balabagan Story
ジョエル・ラマガン監督 1997 (120min) タガログ語(フィリピノ語)
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