日 時:2009年6月27日(土)
時 間:14:00~(土曜日にて玄関は暗証番号の入力が必要です。)
場 所:京都大学 人文科学研究所、102セミナー室
報告:籠谷直人「浅香末起がみた「南方圏」」
参考文献
・『爪哇経済界ノ現況ト蘭領東印度ノ原始産業並ニ其ノ取引概観』
究第9号)台北高等商業学校、1930年9月。
・『南洋経済研究』千倉書房1942年2月(初版は41年6月)
・『南方交易論』千倉書房、1943年1月。
・「ジャワ人口問題とその対策」『大日本拓殖学会年報』第一輯(
諸問題)、日本評論社、1943年6月。
・『大南方経済論』太平洋書館、1944年10月。
概念について
乾季と雨季が顕著 乾季と雨季が不明確
自給部門 外部市場
農村社会 都市
温情的判断 合理的判断
甘蔗、米作 ゴム、錫
ジャワ
タイ、インドシナ マレー半島、スマトラ
【発表趣旨】
本報告の課題は、1940年代の日本の南方進出をうけて、実施された多くの「南方圏」調査の「空間学知」を通して、日本の南進政策の歴史的認識に検討を加えることにある。乾季と雨季が明確な「温帯」日本は、この時代に、台湾以南の熱帯「南方圏」(インドとオーストラリアは含まない)に進行し、「大東亜共栄圏」を確立しようとした。しかし、「南北」の交渉と生存圏の模索は、日本にとって大きな負担を課した。「東亜共栄圏市場は未だ世界市場に代わりうるだけの力はない」というのが浅香の結論であった。
【活動の記録】
マレーやスマトラのゴムは、「労働需要の季節性がない」から、「常雇」であるが、ジャワの甘蔗は労働需要の「季節性が大きい」という差異がある。甘蔗の生 産地帯で失業者が出たとしても「村で生活して行ける」が、ゴム生産地域で失業者が出ると「生計を全部失う」ことになり、「共同制も伝統もない都市」に出て いくことになる。また、マレー半島では、ゴムがあまって米が足りなくても、「ゴムを米に転換することはなかなか容易にできるものではありません」(『大南 方経済論』94頁)との指摘は、生産過剰のゴムの販路を日本がいかに確保するのかという問題を含んでいた。乾季と雨季の明確な「甘蔗気候」とそれが明確で ない「ゴム気候」の域内調整が、大東亜共栄圏の建設に当たっての大きな課題であった。
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