「試練を乗り越える方法」[第2回バランロンポ研究会](関連する学会・研究会)
日 時:2009年7月10日(金)17:30~19:00
会 場:共同棟4階 セミナー室
話題提供者: 浜元聡子(東南アジア研究所)
「試練を乗り越える方法」
【報告要旨】
マカッサル海峡島嶼部地域では、より確実に経済的機会を得るために、メッカ巡礼を経験することがひじょうに重要であると考えられている。とりわけムスリムである女性行商人は、広い経済活動圏と経済的信用を確保するために、なによりもまず巡礼経験者(スラウェシでは女性でもハッジ)となることを第一目標においてきた。巡礼経験を得たのちは、社会的・宗教的に到達点を極めた者として周囲からの信用を得ることができ、より遠い場所を自分の経済活動圏に設定し移動する自由が得られるのだと語られる。本報では、このような女性行商人の中でも、深く人々の記憶に残されるような成功と失敗の経験をもつバランロンポ島民ハッジ・ミラの個人史に焦点を当てる。スラウェシ-カリマンタン-ジャワへと移動してくる背景で、ハッジ・ミラは結婚と離婚を繰り返しながら、東南アジアの金融危機、自然資源枯渇に由来する経済活動の危機など厳しい試練や度重なる個人的な不幸に直面してきた。どのようにして彼女はこれらの出来事を乗り越えてきたかのだろうか。
彼女の個人的経験をそのまま援用することは無謀であるかもしれないが、相次ぐ自然災害を経験するインドネシアの女性たちを励ます/あるいは苦しい状態から脱出するきっかけを与えるようなヒントをそこに見出すことはできないものかを議論したいと考える。
報告の中では、ジョグジャカルタ南部地域における被災女性の事例を報告し、議論の材料とする。
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