日 時:2009年11月9日(月) 14:30~16:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館 3階 中会議室
話題提供:小池文人(横浜国立大学大学院 環境情報研究院)
トピック:日本の里山と外来植物
【要旨】
人々が持つ自然のイメージは様々であり,(a)人里離れた人手が入らない場所,(b)意図的に管理されていない個体群・群集・生態系,さらにモデル作りをしているひとから見れば(c)人間を自然の一部としてあつかうことも容易である.(英語には「自然」に対応する用語がないので自然は日本固有の概念か?) 自然をめぐる価値観も大きく変化してきていて,かつてはなるべく人里離れた,なるべく人手の入らない植物群集が良いとされたが(自然度による評価マップ),その後に人間が管理する伝統的半自然景観の価値が強調されるようになった(里山指標種による評価マップ).人間活動が植物群集に与える影響は古くから研究されていて,植物群集のカタログ作りをしている植物社会学では,人手の入らない群集よりも多数の代償植生が記載されている(人間の影響は複雑).かつては人間が自然を改変しても影響が無くなれば自律的に元に戻る(植生遷移)と考えられてきたが,いまでは影響が無くなっても元に戻らないことが多いと考えられるようになった(地域からの絶滅による種子不足,外来生物による不可逆的な生物相の変化,温暖化による環境変化,など).今回は,種子不足や生物相の変化の結果としてどのような群集が成立するのかを予測する研究について述べる.
問い合わせ先:
藤田 素子(東南アジア研究所 GCOE研究員)
fujita[at]cseas.kyoto-u.ac.jp