第27回南部アフリカ地域研究会のお知らせ
【日時】11月13日(金) 15時30分~
【場所】稲盛棟3階 セミナー室(307)
【発表者】手代木功基・伊藤千尋
※発表・質疑応答を含め、ひとり1時間30分程度を予定しています。
※なお、当日は今後の研究会の進め方に関する話し合いも行います。
【発表者1】手代木功基
タイトル:ナミビア半乾燥地域におけるヤギの日帰り放牧の地理空間分析―乾季・雨季の差異および植生との関わり―
要旨:乾燥・半乾燥地域における家畜の飼養に関する研究では,近年のGPS機器の発達によって各個体や個体群の移動形態・移動ルートの詳細な把握が可能となっている.それにともなって家畜の行動研究や牧畜民の空間利用に関する研究が進展している.本研究では,これまであまり検討されてこなかった定住集落における放牧ルートの季節による差異とその要因について,乾季と雨季のヤギの日帰り放牧の長期間にわたるGPSデータと,放牧場所の植生調査結果をもとに検討する.
【発表者2】伊藤千尋
タイトル:現代アフリカ農民の脆弱性にみる変動性と内発性―ザンビア南部州を事例に―
要旨:アフリカ農民の生計維持は,不安定な自然環境や政治変動,経済政策の影響を受け,リスクと常に隣り合わせにある.そのため農民が被る可能性のあるリスクと,そのリスクへの対応能力を包含する「脆弱性」(vulnerability)という概念は,農村の社会や経済を理解する上で非常に重要である.
従来の研究では主として干ばつやマクロな政治・経済変動など外的要因によって脆弱性が規定され,その影響の仕方を左右するのが農民の対処行動という内的な要因だと見られてきた.しかし本発表は,日常の生活世界で起こっているできごとや,個人・世帯間の相互行為も脆弱性の変動と関わっているのではないか,という視点に立脚する.発表では,ザンビア南部州農村の事例をもとに,脆弱性が変動するプロセスを明らかにし,変動の要因にみられる内発性や連続性,そして地域的特殊性について提示する.