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「東南アジアでの持続的な林業は可能か?:現状分析と展望」[東南アジアの自然と農業研究会 第144回定例会](関連する学会・研究会)

日 時:2010年2月19日(金) 16:00~18:00
場 所:東南アジア研究所 稲盛財団記念館3F 中会議室
(京都市左京区吉田下阿達町 46川端通り荒神橋東詰め)

題目: 『東南アジアでの持続的な林業は可能か?:現状分析と展望』
発表者: 神崎 護 氏(京都大学農学研究科森林科学)

 

【発表要旨】
バイオエネルギー活用や,循環可能でカーボンニュートラルな資源の重要性が高まる中,木材資源の利用もさらに拡大することが予想される.同時に,カーボンシンクとしての森林の重要性と,生物多様性の保全対象としての森林の重要性も高まっている.東南アジアの熱帯林は,低コストでの木質資源の供給源となりえると同時に,巨大なバイオマスを持ち,高い生物多様性を内包するという点で,両者のバランスが強く求められる地域である.過剰伐採,農地化,統治能力の欠如などによる森林消失がいまだに進む地域で,森林の管理主体である林業会社や林業局,あるいはローカルな森林ユーザーがもつ技術面での問題については,十分に検討されてこなかったように思われる.研究会では東南アジア各国での実施したわれわれの研究グループの研究事例を交えながら,下記の4点について報告し,関連分野の方々との活発な議論の材料を提供したい.
1) 択伐天然林が持つ矛盾:現在択伐の対象となる樹種の多くは,成長が早く材の比重が軽く加工しやすい特性を持つが,更新のための光要求性が高い.このため,択伐による林冠疎開では,更新が円滑に進まないという矛盾を内包している.持続性確保のためには,樹種の生活史全体を視野に入れた択伐手法の開発が必須である.別のオプションとして,伐採対象樹種を択伐施業の下で円滑に更新可能な樹種へと変換することも考えるべきである.
2) 植林林業が持つ問題:ユーカリやアカシアを利用する産業造林は,伐期が3から8年と極めて短く,養分収奪や土壌エロージョンの面では農業的なシステムとあまり代わりがなく,林地が持つ環境サービス機能の面ではほとんど期待できない生態系ではないだろうか.このような超短伐期のシステムにおける持続性の確保には農地生態系的な取り扱いが極めて重要ではないかと思われる.
3) ローカルな需要への対応:実態が十分把握できていないのが,薪炭のための利用である.このような薪炭利用の多くは,国有林内での違法行為に近い形で行われることが多く,利用の技術や効率的利用への技術開発は残念ながら不十分である.日本が有するクヌギなどを主体とした低林施業と呼ばれる薪炭林管理技術は,熱帯各国でも十分に応用可能なのではないだろうか?
4) 保護vs.利用の二分論を超えて:統治面においては土地利用区分を明確化することは,森林の有効な利用と保護にとってクリアーすべき点であろう.しかし,東南アジア熱帯においては,農地拡大の圧力がいまだ強く,林地に依存する住民の比率が高いため,机上の保護区設定はほとんど有効性を持たない地域が多い.利用と保護のカップリングのような仕組みの検討が重要だろう.REDDと呼ばれる森林消失速度低減による炭素発生量抑制の国際的な仕組みにおいても,統治の極めて難しい奥地林をどのように有効に保全していくのか,制度的な検討がきわめて重要と思われる.

 

*会の後に懇親会を予定しております。ふるってご参加ください。

□問い合わせ先:
佐々木綾子 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
Tel. 075-753-7839 mailto: sasaki22[at]asafas.kyoto-u.ac.jp
田中耕司 京都大学地域研究統合情報センター
Tel. 075-753-9600(センター長室)、9603(代表)、7307(研究室)
mailto: kjtanaka[at]cias.kyoto-u.ac.jp

■WEB SITE: http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/seana/