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木質系有機資源の新展開 II(GCOE関係者による出版物)


書名:木質系有機資源の新展開 II
監修集:舩岡正光  
著者:矢野浩之「セルロースナノファイバーの製造と利用」
発行元:シーエムシー出版
出版年:2009年10月

【書籍紹介】 森林は地球生態系を構成する重要な基盤ユニットである。したがって,その取扱いには慎重であらねばならず,安易な大規模利用は修復不可能な環境破壊を引き起こす可能性がある。
森林は,微小分子が巨大複合体(樹木)を経て再び分子へと転換される一つの流れの場として捉えることができる:

1st(Energy input/Potential up;Phase I):拡散状態にある炭酸ガスが太陽光をエネルギー源とする光合成システムによって集合化,濃縮され,精密な分子複合系へと組み上げられるステップ(樹木形成)
2nd(Potential equivalent;Phase II):ハイポテンシャルを維持するステップ
3rd(Energy output/Potential down;Phase III):分子複合系が解放され壮大な年月をかけ逐次構造転換を繰り返しながら最終的に炭酸ガスへと転換されるステップ

 我々は,生物種そしてそれを構成する物質毎に「Energy」,「Function」,「Time」の認識の下に使い分けているであろうか。 材料としてのPhase III(分子循環ステップ)の具現化は,21世紀における新しい分野融合型の活動である。それは,ハイポテンシャルで多機能な分子複合系を扱う農学,ローポテンシャルで単機能な素材から高機能材料を精密に組み上げる工学,この両者が融合することによってのみ成り立つ活動である。
2005年1月シーエムシー出版より『木質系有機資源の新展開』というタイトルのもとに新しい森林資源の活用技術を総括した。本書はその続編であり,森林資源を分子レベルで見つめ直し,それを固定した材料(木材,紙など)を超え高付加価値かつ高機能素材,材料として活用することを意図して開発された最先端の技術を網羅している。
読者には,個々の技術の特徴を深く比較・認識し,生態系を攪乱しない,そしてその技術が生きる独創的な応用システムを構築していただきたい。

(「はじめに」より)

【書評】