12月の東南アジア学会関西地区例会は、「東南アジアの社会と文化研究会」と共催で下記のように開催いたします。
日 時:2010年12月11日(土)13:30~17:30
場 所: 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階 会議室(AA447)
(京都市左京区吉田本町京都大学本部構内 百万遍のすぐ近くです。)
清水政明 (大阪大学 世界言語研究センター)
「字喃資料による15世紀ベトナム語音韻体系の再構成―試論」
阿良田麻里子 (国立民族学博物館)
「ジョジョバ(幸せな独り者)―インドネシア都市部におけるキャリア女性の食行動とジェンダー規範の変容―」
【発表要旨 Abstracts】
1 清水政明
本発表は、15世紀に編纂されたと考えられ、編纂当時の音韻状況をよく保存する字喃資料『佛説大報父母恩重經』字喃対訳版を利用して当時の音韻 体 系を再構成しようとするものである。本資料に併せて、時期的に隣接する資料として華夷譯語(特に安南國訳語)の漢字による音訳法も参照する。再構 成される音韻体系が、明らかにProto Vietmuongと華夷譯語の中間段階に位置し、ProtoVietmuongから受け継ぎ華夷譯語へと推移する音韻変化のプロセスが難なく説明される ことを明らかにした上で、ベトナム語音韻史研究における字喃の 新たな利用法とその分析結果の妥当性を問う。当時の音韻体系の特徴として、一部の語彙においてProto Vietmuongに特徴的な双音節性(disyllabicity)の痕跡が明確に検証されること。また、華夷譯語の段階で完了していたと考えられる、双音節語彙における主音節初頭子音の摩擦音化(spirantisation)が未完了であり、それにより主音節初頭子音の有声化と摩擦音化の順 序に再考の余地がある点等が指摘可能となった。
2 阿良田麻里子
通貨危機やスハルト体制崩壊後の混乱から、インドネシア経済は10年足らずで立ち直った。都市部では大規模な商業施設が相次いでオープンし、外 食産業の発展も著しく、空前のグルメブームを迎えている。そんな中、都市部にすむ中間層以上のキャリア女性の生活様式には大きな変化が見られる。 高学歴女性の晩婚化が進み、30を超えて独身で、一人暮らしを選ぶ女性も珍しくない。また、インドネシアでは従来、女性が一人で食事を外食すると いうことは、規範を大きく逸脱した行為であったが、今や単独で外食するおひとりさま女性の姿もごく日常的なものとなり、人目をひくものではなく なった。民族集団や宗教などの枠を超えて、共通した生活様式を持つ彼女達は、外食や中食を楽しみながら、友人達と緊密な関係を築いている。ジャカ ルタとバンドゥンを舞台に、「幸せな独り者(jojoba)」を自認する女性たちの暮らしぶりを、その食行動を中心に描く。
*「東南アジアの社会と文化研究会」のウェブサイトには、今回の研究会の案内、発表要旨、研究発表に関わる写真、それに会場へのアクセスマップ (「本部構内マップ」をご覧ください)が掲載されていますので、ご覧ください。
http://www.chiiki.asafas.kyoto-u.ac.jp/syakai-bunka/index.html
世話人・連絡先
東南アジア学会関西地区例会 世話人・連絡先
片岡 樹 kataoka[at]asafas.kyoto-u.ac.jp
蓮田隆志 hsd[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
速水洋子 yhayami[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
渡辺一生 isseiw[at]cseas.kyoto-u.ac.jp