京都大学アフリカ地域研究資料センター
第165回アフリカ地域研究会のご案内
演題:クエにおけるバイモーダル・コミュニケーション:消えゆくブッシュの コミュニケーション芸術
日 時:2010年2月4日(木)15:00 ~ 17:00
場 所:稲盛財団記念館3階318号室(京都市左京区吉田下阿達町46)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_b.htm
講師:Dr. Matthias Brenzinger(マティアス・ブレンジンガー博士)
・Tenured researcher at the Institute for African Studies,
University of Cologne(ケルン大学アフリカ研究所・終身研究員)
・Visiting Professor, ASAFAS, Kyoto University
(京都大学ASAFAS・客員教授)
要約:
クエの古老が述べたように,狩猟採集民の真の故郷はブッシュである.
狩猟行においては,ほんの囁きでさえハンターを生命の危機に陥れかねないので,音を立てることは厳禁とされる.このため,クエのハンターは特定の動物に言及するために標準化されたサインを用い,方向を指示するためにジェスチャーを使用する.本発表では,クエの古老たちのバイモーダル(ジェスチャー-映像および聴覚-口述)・コミュニケーションを記述・分析する.ジェスチャー-映像的な手段は,対面コミュニケーションにおいて空間的な情報を伝える,時間軸におけるポイントを特定する,場所への距離を記述する,子どもの年齢を示す,といった行為を行うための最も重要な道具である.ジェスチャーの分析では,まずジェスチャーの語彙,すなわちさまざまな動物およびその形態や動作などを指すためにほぼ標準化されたサインについて報告する.第2に,会話を行う時にそれと共に生じるジェスチャー,すなわち手や頭の意味ある動かし方などについて述べる.第3に,クエ語では言語的には表現できない年齢,距離,時間軸におけるポイントといった情報を伝えるために用いられるジェスチャーについて報告する.