科研基盤S「紛争と共生」生業環境ユニット第2回研究会
『アフリカ自然保護の潮流: 原生自然保護から住民参加型保全、そして新自由主義へ?』
第2回アフリカ自然保護研究会と共催
日 時:2011年11月6日(日)
会 場:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
【プログラム】
13:30-13:45 山越言(京都大学) 趣旨説明『日本におけるアフリカ自然保護研究史』
13:45-15:00 目黒紀夫(東京大学)『人間と野生動物の共存を考える視点としての「かかわり」』
15:00-15:30 コーヒーブレイク
15:30-15:45 池野旬(京都大学)『コメント』
15:45-16:30 討論(これからの自然保護研究の方向性について)
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【発表要旨】
『人間と野生動物の共存を考える視点としての「かかわり」』
目黒紀夫(東京大学)
1990年代以降、アフリカの野生動物保全では「コミュニティ主体の保全」が新たな保全パラダイムとして位置づけられるようになった。しかし、一言に「コミュニティ主体の保全」といっても、そこには少なくとも、功利主義的な「便益アプローチ」と新自由主義的な「権利アプローチ」そして熟議民主主義の流れを汲む「対話アプローチ」の3つの潮流が確認できる。そして、それらのアプローチは経済的便益や私的権利、対話の機会を実現することで「保全」が「成功」すると想定しているが、そこではローカルな人間と野生動物のかかわり(の多様性・地域性)はまったくといっていいほどに考慮されていない。
本発表では、ケニア南部アンボセリ生態系のマサイ社会において90年代以降に取り組まれてきた複数の「コミュニティ主体の保全」を事例として、上述の各アプローチの妥当性を検討するとともに、ローカルな「かかわり」を見ることの重要性(見ないことの問題性)を考えていきたい。