日時:2011年11月29日 16:00-18:00
場所:京都大学地域研究統合情報センターセミナー室(稲盛財団記念館2階213号室)
発表者:Hoang Thi Minh Nguyet(京都大学地域研究統合情報センター研究員)
発表タイトル:
ベトナムにおけるアブラヤシの商業的栽培が拡大しないのはなぜか?―ゴムとの比較から
要旨:
西アフリカに栽培起源地を持つアブラヤシがベトナムに初めて導入されたのは仏領期の1878年であった。フランス人がはじめてサイゴン植物園に観葉植物として持ち込んだものである。これと前後してインドネシアやマレーシアでもアブラヤシが導入されたが、両国とベトナムとではその後のアブラヤシ栽培の発展プロセスは大きく異なった。マレーシアでは1960~70年代にプランテーションによる栽培面積が急速に拡大し、少し遅れてインドネシアでもプランテーション栽培面積が拡大した。その結果、両国だけで世界のアブラヤシ総生産量の81%(2009年)を占めるに至った。一方ベトナムではアブラヤシの商業的な栽培は現在までほとんど行われていない。本報告では、ベトナムにおいてアブラヤシ栽培が拡大しなかった理由を、特にゴム栽培と比較しながら、明らかにする。というのは、アブラヤシと同時期にベトナムに導入されたゴムの場合、インドネシアやマレーシアと同様、現在ではベトナムの重要な輸出産業となっているからである(インドネシアの生産量が世界第2位、マレーシア同3位、ベトナム同5位)。それにより本報告では、ベトナムにおけるアブラヤシ栽培面積拡大のために、自然環境条件、大規模農地の確保、政策が制限要因となっていたことを示す。