研究の概要
テーマ:「スワヒリ・コーストにおけるアラブ移民ハドラミーのネットワーク」
東アフリカのスワヒリ・コーストにおいて,現地イスラーム社会の中でハドラマウト(イエメン)出身のアラブ移民が果たしている役割に注目し,イスラーム的な価値観を背景に彼らのネットワークが超国家的に機能している様子を明らかにすることを研究目的としている.
インド洋では,古来よりモンスーンを利用した遠距離航海が可能であったことから,東アフリカ,西アジア,インド,東アジアが交易を通じ相互に結び付いてきた.アラビア半島南部と東アフリカ沿岸部スワヒリ・コーストの間にも,ムスリムによる広域ネットワークが築かれており,イエメンのハドラマウト地方から多数のアラブが移住している.彼らは出身地にちなんでハドラミーと呼ばれる.ハドラミーは商人,イスラーム法学者,神秘主義教団の指導者として定着し,イスラーム化したスワヒリ・コーストの各都市社会において大きな役割を果たしてきた.
キーワード: イスラーム,タリーカ,スーフィズム,ハドラミー,ネットワーク
関心領域: イスラーム研究,文化人類学,社会的ネットワーク,タリーカ論
調査地: タンザニア連合共和国ザンジバル州(ウングジャ島・ペンバ島),ケニア共和国(ラム,マリンディ,モンバサ,ゴンゴーニ),シンガポール
調査歴:
2005年4〜5月:ザンジバル.
2006年9月:シンガポール.
2006年10〜11月:ケニア沿岸地域,ザンジバル.
2007年3〜5月:ザンジバル(ウングジャ島).
2006「ザンジバルにおける預言者生誕祭とタリーカの展開」大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部・学士論文.
2008「聖なる人々の教団—現代ザンジバルにおけるタリーカ・アラウィーヤの存在—」京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士予備論文.
学術論文:
2007「ザンジバルにおけるタリーカの展開」『大阪外大スワヒリ&アフリカ研究』17: 29-58.
口頭発表:
2007「Martin van Bruinessen. “Controversies and Polemics Involving the Sufi Orders in Twentieth —Century Indonesia”」『スーフィー・聖者研究会(KIASユニット4/SIASグループ3連携研究会)合宿研究会』2007年7月26〜27日,上智軽井沢セミナーハウス.
2007「A Sufi Order of the Holy Men —The Presence of Tariqa ‘Alawiyya in Contemporary Zanzibar」『第12回 拠点セミナー』2007年10月24日,京都大学.
2008「現代ザンジバルにおけるアラウィー教団の展開」日本中東学会第24回年次大会,2008年5月24〜25日,千葉大学.
2008「預言者生誕祭の構造─ザンジバルにおけるマウリディの事例から─」日本文化人類学会第42回研究大会,2008年5月31日〜6月1日,京都大学.
2008「タリーカ・アラウィーヤの特質と構造─現代ザンジバルの事例から─」『スーフィー・聖者研究会(KIASユニット4/SIASグループ3連携研究会)合宿研究会』2008年9月29〜30日,KKR江ノ島ニュー向洋.
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