研究の概要
テーマ:「 タンザニア、キロンベロ谷における氾濫原農業についての研究 」
タンザニア連合共和国の中南部に位置するキロンベロ谷は、総面積12,000k㎡の広大な内陸氾濫原である。ここでは湿潤な水環境のもとで盛んに稲作が営まれており、タンザニア有数のコメ産地が形成されている。キロンベロ谷の人々が営む稲作は、トラクタや農薬などの近代技術を取り入れているものの、水利条件としては定期的に発生する洪水に強く依存する特徴をもっており、作期や栽培されている品種は、こうした洪水をもっとも効率的に利用できるものが選択されている。
しかし、キロンベロ谷の稲作を取り巻く状況は必ずしも良いとはいえない。最近同地域において動物保護区が設置されるはこびになり、さらなる稲作地の拡大は困難になっている。また、燃料価格の高騰やそれにともなう農業投入財の価格上昇なども農家の経営を圧迫しつつあり、同地域の稲作は多くの問題を抱えようとしている。したがって、キロンベロ谷では既存の耕作地において稲作体系を集約化する必要があるといえる。今後はこれまでおこなってきた農業生態学的な調査の結果を踏まえ、地域の農家とともに集約的で持続的な稲作体系の確立に関わりたいと考えている。
キーワード: 氾濫原、在来稲作、土地利用
関心領域: アフリカ地域研究、農業生態学、作物学
調査地: タンザニア、モロゴロ州、ウランガ県・キロンベロ県
調査・渡航歴:
2001.加藤太「生態活性肥料の開発」信州大学農学部 卒業論文
2004.加藤太「タンザニア、キロンベロ氾濫原における天水田稲作の生態と経営」京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 博士予備論文
2007. KATO Futoshi “Development of Major Rice Cultivation Area in the Kilombero Valley, Tanzania.” African Study Monographs, Supplementary Issue No.36 : 3-18, March.
2008.加藤太『氾濫原における土地利用の多元性と在来稲作の展開―タンザニア、キロンベロ谷の事例―』(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士論文)
学会発表等:
2005. KATO Futoshi “Development of Major Rice Cultivation Area in the Kilombero Valley, Tanzania.” 21st Century COE Workshop: Concepts and Perceptions on African Way of Rural Development Based on Area Studies, in Dar es salaam, Tanzania.
2007.加藤 太「トラクタ耕作を基盤とした稲作の展開-タンザニア・キロンベロ氾濫原の事例」日本アフリカ学会第44回学術大会
2008.加藤太「タンザニア、キロンベロ谷における在来稲作の展開」日本熱帯農業学会第103会講演会
2008.加藤太「氾濫原における多元的土地利用の展開-タンザニア・キロンベロ谷の事例」日本アフリカ学会第45回学術大会
2008.加藤太「タンザニア、キロンベロ谷における移植稲作の展開とその特徴」日本熱帯農業学会第104回講演会
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