タイトル: 二次的植生の成り立ちと社会-東南アジアの事例-
Secondary anthropogenic forest and Society: From the case of Southeast Asia
日 時:2011年8月9日15:00~
場 所:稲盛財団記念会館 小会議室Ⅰ
人為介入のもとに成立する二次的植生(あるいは人為植生)には、
時空間に応じた多様なバリエーションがみられる。継続的に利用
されてきた各地の二次的植生が環境保全の文脈から脚光を浴びて
いる現在、この植生のバリエーションが創出される機序を地域社会
の文脈から多角的に解明していくことが、ますます重要な課題とな
っている。
今回の研究会では農学研究科の神崎護氏とアジア・アフリカ地域
研究研究科の佐々木綾子氏をお招きし、東南アジアにおける
二次的植生の形成や成り立ちと人為との相互関係について生態学と
地域研究という異なる視点からご発表いただき、討論する。
15:00-15:10 趣旨説明
15:10-15:50
報告1 神崎護(京都大学農学研究科・准教授)
「東南アジアの森林景観と人為インパクト」
Forested landscape and human impacts in Southern east Asia
16:00-16:40
報告2 佐々木綾子(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科・研究員)
「タイ北部における林内チャ栽培を基盤とした生業体系」
Forested land-use system through tea cultivation in northern Thailand
16:40-17:00
総合討論
【主催】G-COEイニシアティブ2
http://www.humanosphere.cseas.
【活動の記録】
2011年8月3日にアフリカの人為植生に関する研究会(「地域の植生の成り立ちと動態-アフリカの熱帯雨林地域とサバンナ地域の事例から-」)を実施した。今回はその主旨を引き継ぎ、東南アジアに関する2つの報告から人為植生の成り立ちについて議論した。
最初の報告者の神崎護氏は、東南アジア全域を対象とし、各地にみられる森林景観がどのような人為介入の影響を受けて形成されているのかについて生態学の立場から検討した。その内容は以下の3部から構成されていた。その第1は、東南アジア大陸部全域の森林区分である。この地域の森林は、クラスター分析にもとづくと常緑性フタバガキ林や落葉性フタバガキ林などを含む4つの植生タイプに大きく区分された。各タイプからはさらに多様な植生が抽出され、それらの形成が人間活動といかに関連しているのかについて概説された。第2には、大区分された森林タイプのひとつである落葉フタバガキ林を事例として、人間活動と森林動態との関係が詳細に検討された。たとえば、落葉フタバガキ林の下層は近年の防火処置によって常緑化が進んでいるという。また、家畜の放牧地として利用されてきた落葉性のサバンナ地域では、放牧活動の衰退とともに常緑化が進んでおり、そのことより、サバンナが「人為極相」の状態にあると論じられた。第3は、東南アジア島嶼部において近年、耐火性樹種が拡大している様態が示された。この地域は本来熱帯雨林が成立する環境であるが、火をともなう農業の影響によってツバキ科の低木Shima wallichiiが拡大しているという。以上のように神崎氏は東南アジア各地の植生動態とその人的インパクトを生態学的な見地から明示した。地域の植生動態に関する詳細な生態学的記述と分析は今後ますます重要になると思われる。同時に、その結果を地域社会の文脈と照らし合わせて考察を進めることが大きな課題となる。
地域社会の文脈から森林のもつ意味を検討したのが、2番目の報告者である佐々木綾子氏である。佐々木氏はタイ北部において換金源として重要なチャ栽培を生計基盤とする人びとの社会・生業動態と、チャ栽培に庇陰効果をもたらす存在として欠かせないミアン林とよばれる森林の利用変化について報告した。チャ栽培に関する通時的分析から、チャ栽培は地域外部の経済動向や労働力の流出入と密接に関連して拡大と低迷を経験してきたことが示された。しかし、そうした経済変動のなかにあっても人びとは多様な非木材林産物(NTFPs)を産するミアン林を社会状況に見合う形で継続的に利用し続けることによって、生計を柔軟に維持してこられたという。また、最近年ではミアン林を観光資源として利用する動きも出ているという。ミアン林は時代をとおして景観レベルでは変化がないようにみえるが、実はその内実は社会外部の状況との脈絡のなかで刻々と変化していると結論付けられた。
(文責 平井將公)
タイトル:「地域の植生の成り立ちと動態-アフリカの熱帯雨林地域とサバンナ地域の事例から-」
日 時:2011年8月3日13:30~15:30
場 所:稲盛財団記念会館 中会議室
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html
【趣旨とプログラム】
生業や生活にもとづく地域住民の介入をとおして成立する二次的植生(あるいは人為植生)には、
時空間に応じた多様なバリエーションがみられる。継続的に利用されてきた地域社会の二次的植生が
環境保全の文脈から注目を浴びる現在、この植生のバリエーションが生じる背景を多角的に
明きらかにすることが、ますます重大な課題となっている。本研究会ではアフリカの熱帯雨林
(カメルーン南東部)とサバンナ(ガーナ北部)という対照的な生態環境下にある地域社会を
対象として、住民と自然との連続的な相互作用系を分析しながら、地域の植生の成り立ちを
生態史的視点から検討してみたい。
13:30-13:40 趣旨説明
13:40-14:20
報告1 大石高典(京都大学アフリカ地域研究資料センター)
「熱帯雨林植生の多様性に関する生態学的理解と民俗分類の比較―カメルーン東南部の事例―」
14:30-15:10
報告2 友松夕香(東京大学農学研究科)
「シアとパルキアが作る農地林景観の成立要因とその動態」
15:10-15:30
総合討論
【主催】G-COEイニシアティブ2
/
【共催】京都大学地域研究統合情報センター
「自然と人の相互作用から見た歴史的地域の生成」
http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/project/kyodo2010-30
【活動の記録】
世界各地には人的介入のもとに長年にわたって維持されてきた人為植生が広範に分布する。本研究会では、そうした植生の形成や動態と人為介入との関連について検討した。最初の報告者の大石高典氏は、カメルーンの熱帯雨林に暮らす人びとが森林を精細に分類している様態について報告した。大石氏はまず同地域の熱帯雨林が種レベルのみならず群落のレベルにおいても高い多様性を有することを森林生態学的調査から明らかにした。また民族植物学的観点から人びとの植生分類について調べ、人びとの森林に対する認識や分類が生態学的には区分しえないほど精細であることを示した。さらに、人びとの植生分類は地域社会において均一ではなく、民族や男女間で有意差があることを報告した。今後、そうした民俗分類がいかに生じているのかを生活実践との関係から浮き彫りにすることが重要だと思われた。同時に生態学的分類と民俗分類との従属関係を乗り越える点にも課題があるだろう。
第2の報告者の友松夕香氏は、人口稠密なガーナ北部のサバンナ地域に暮らすダゴンバの王国社会を対象として、農地に生育するシア(Vitellaria paradoxa)やパルキア(Parkia biglobosa)といった有用樹と人びととの長年にわたるかかわりや、樹木が維持されてきた背景について報告した。シアの果実から採取しうる油脂は換金性を有する。1980年代以降のシアの換金性の高まりは、従来所有権を超えて村の成員に広く認められていた採集権をより排他的なものへとシフトさせることや、個体群密度のより綿密な管理へ結びついていったという。他方、人びとの食生活に多用されるパルキアの果実については、その採集権が王を長とする男性主体の階級制度と密接に関連していることが明らかにされた。本来パルキアを所有するのは上部階級の男性だけだが、彼らは女性に対して果実の採集権を暗黙的に容認することによって、自らの寛容性を主張しているという。つまり、ダゴンバ社会で独特の政治構造にもとづいてパルキアに象徴的価値が付与されているのである。友松氏の報告は、同一社会において有用樹が農地に残される背景が種によって異なることを示す貴重な事例だと思われた。
本研究会では熱帯雨林でもサバンナでも人為が植生の成り立ちに絡んでいたが、その絡み方は両地域で大きく異なることが実証的に示された。友松氏も指摘したように今後その差異に対してさらに分析を進めていく必要があろう。
(文責 平井將公)
日 時:2011年3月27日(日) 13:00-18:50
場 所:稲盛財団記念会館 3階大会議室
http://www.asafas.kyoto-u.ac.
【趣旨】
生物多様性保全や温暖化ガス削減といったグローバル環境問題をめぐる議論が、
最近年、ますます活発化している。そこで立案される環境政策は、アジア・アフリカ
の地域社会に大きな影響をおよぼすマクロ状況として定着しているといっても過言
ではない。しかし、マクロな環境政策と地域社会とのあいだには、環境保全を主題
とするか、生活維持の立場から環境とかかわるか、といった乖離が潜在的に含ま
れており、それはしばしば両者の対立関係を生み出す要因となってきた。その反省
から現在、環境政策の主流は、国連「ミレニアム生態系評価報告書」などに示され
るように、地域社会で培われてきた人と自然のかかわりを認めつつ、環境保全の道
を模索する方向へシフトしようとしている。しかしながら、その潮流が捉える人と自然
とのかかわりとは、“伝統的でそれゆえ保全的な自然利用”という一面的なものに
留まっている。人と自然とのかかわりは、現実には社会状況の変化にともなって変
容しており、今後、その点をいかに捉えるか、また、そのうえでどのように政策立案
者と地域住民との協働関係を構築していくかが重要な課題となっている。
本研究会では、まず、人と自然の多様なかかわりを重視した「順応的管理」や「生態
系サービス」といった環境政策にまつわる最近のキー概念について明らかにする。
そのあと、アジア・アフリカ地域における自然利用の実態に関する3つの事例を報告
する。そして、以上を総合討論の場において相互に照らし合わせることにより、環
境政策と地域社会における自然利用との接合の可能性について検討してみたい。
【プログラム】※各報告は発表40分+質疑10分
13:00-13:10 趣旨説明 荒木茂(京都大学)
13:10-14:00 報告1 宮内泰介(北海道大学)「これからの環境保全―半栽培と順応的ガバナンス―」
14:00-14:50 報告2 佐藤哲(長野大学)「生態系サービス概念の可能性と課題―科学と地域の協働に向けた地域環境学ネットワークの取り組みをめぐって」
14:50-15:10 休憩
15:10-16:00 報告3 金沢謙太郎(信州大学)「サラワクの熱帯雨林とグローバリゼーション」
16:00-16:50 報告4 小坂康之(総合地球環境研究所)「【仮】ラオスにおける産米林の形成と利用」
16:50-17:40 報告5 平井將公(京都大学)「セネガルのセレール社会における農地林の利用―アクター間の交錯に着目して―」
17:40-17:50 休憩
17:50-18:50 総合討論
懇親会
※研究会のあと懇親会の場をご用意させていただきます。ぜひ、ご参加ください。
【共催】
・京都大学地域研究統合情報センター共同研究
「『仮想地球』モデルをもちいたグローバル/ローカル地域認識の結合」
・京都大学グローバルCOEプログラム
「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ2
幹事・連絡:平井將公(hirai[at]jambo.africa.kyoto-u.ac.jp)
東南アジア研究所共同研究「ミャンマー、バングラデシュ、日本の農村の生存基盤に関する相互啓発実践型地域研究」(代表大西 信弘 京都学園大学・バイオ環境学部)、「 生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業」科研「ベンガル湾縁辺地域における自然災害との共生を目指した在地のネットワーク型国際共同研究」(代表 安藤 和雄)の3つの研究事業が合同して、
「文化と歴史そして生態を重視したもう一つの草の根の農村開発に関する国際会議」
開催日:2011 年2 月26 日( 土) 、27 日( 日)
場所:京都府亀岡市保津町心凛愛荘
主催: 保津町自治会、京都大学生存基盤科学研究ユニット、京都大学東南アジア研究所、京都学園大学
協力機関:プロジェクト保津川、亀岡市文化資料館
を開催します。プログラムは添付のとおりですので、興味のある方はご参加ください。
日 時::2011 年 2月5 日(土) 13:30-17:30 , 2 月6 日(日) 9:30-13:00
タイトル:「雲霧林と林冠部を探る:林冠部研究の包括化を目指して」
場 所:京都大学稲盛財団記念館(東南アジア研究所)3F 小会議室
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_m.htm
熱帯山地の雲霧林は,熱帯低地の多雨林とは異なり,ブナ科,クスノキ科が優占するとともに,多様なラ
ン科植物,シダ植物,コケ植物からなる林冠内植物群集が発達します.南米では1980 年代から林冠植物
に関する多様な研究が行われ,フロラ,生態いずれの面でも研究が多いに進みましたが,アジアの雲霧林
についての研究例はきわめて少ないのが現状です.本ワークショップ企画者らは,2008 年より3 年間の
計画で科学研究費補助金によってタイの熱帯山地林において林冠植物の多様性を調査し,コケの新種の発
見や林冠内部での林冠内植物の多様性とハビタット分割の様子を解明してきました.このワークショップ
は,これら科学研究費補助金による研究公開のためと,アジアにおける林冠内植物と樹上性動物の研究者
の交流と,研究の現状の理解,今後の研究協力の体制構築を目指して開催します.日本生態学会近畿地区
会の公開研究集会助成もうけておりますので,一般の方の参加も歓迎いたします.
詳細>>pdf
日 時:2010年12月13日~16日
タイトル:「HDX, HSXに関する研究打合せ」
場 所:大阪市立大学・大学院創造都市研究科
発表:
David Hastings(U. S. Department of Commerce,NOAA National Climatic Data Center)
GCOE Ininiative2共催
日 時:2010年12月3日(金)
場 所:京都大学稲盛財団記念館 中会議室(332号室)
【主旨】
近年,中国における環境問題やその政策が取り沙汰されています。しかしながら,これらの課題は地域の経済開発や民族問題とも密接に関連しているため,批判的な立場の研究や,海外の研究者による調査が難しく,その報告に関しても限られた側面のみが報告される傾向がありました。そのなかで,本研究会では,中国政府による環境政策に関して,現地調査を主体とした研究をおこなってこられた国内外の研究者をお招きして,中国における環境問題や環境政策に関する実情とともに,地域の人びとがそれらの政策によってどのような影響を受けているのかを報告して頂きます。なお,発表は日本語でおこなう予定です。
【プログラム】
14:00 挨拶:王柳蘭(日本学術振興会RPD,京都大学CIAS)
14:10-14:50 別所裕介(広島大学・平和構築連携融合事業(HiPeC) 研究員)
「チベット東縁部・黄河源流域の生態移民と民俗文化の行方」
*生態移民とは,中国における開発や公害,環境保全政策に関連して,住民がこれまで生活してきた地域における土地や資源を利用できなくなり,生活地域の移動とそれにともなう生業変化などを求められている状況を指す。
14:50-15:30 児玉香菜子 (千葉大学文学部日本文化学科・助教)
「内モンゴル西部・黒河流域の生態移民と牧畜文化の行方」
本発表の目的は内モンゴル西部黒河下流域の「生態移民」の事例から,政策における生業観の相違,政策維持を支える政治構造を明らかにすることである。こうした構造に支えられ,今なお継続されている生態移民政策が牧畜文化および地域社会へ及ぼす影響と問題点を考察する。
15:30-15:45 ブレイク
15:5-16:25 張玉林(南京大学社会学系・教授)
「生態・環境災難の社会的分配と社会応対:中国山西省を中心に」
中国式の工業化による生態破壊と環境汚染は,はるかに「危機」のレベルを超え,実質的には自然に対する全面戦争として現れている。そのもっとも激しい戦場は,中国の「能源重化工基地」山西省である。本報告は,山西の生態環境災難とその地理・社会空間での分布状況,農村社会に対する影響,およびそれへの対応の仕方と問題点を詳細に考察することにある。
16:25-17:05 山田勇(京都大学・名誉教授)
「中国辺境域とアジア海域での生態資源利用の変遷に関わる中国人の役割」
1990年から2010年にかけてのチベット,雲南および四川の辺境域における生態資源利用の変遷を追い,そこでの少数民族と漢民族の姿勢の違いについてまず述べる。つぎに,アジア海域世界のなかで,沈香や南海産物に関与する中国人の生活とネットワークに関しての調査結果を踏まえ,市場開放後の中国の動きがいかに辺境域を攪乱してきたかをあとづける。そして,こういった現状にも関わらず伝統的生活様式を守り続ける人々の動きについてまとめる。
17:05-17:20 ブレイク
総合討論 17:20-18:30
主 催:
京都大学地域研究統合情報センター複合共同研究ユニット「自然と人の相互作用からみた歴史的地域の生成」
共 催:
京都大学GCOE「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ2班「人と自然の共生研究」
日 時:2010年7月13日(火) 14:00~16:00
場 所:京都大学 東南アジア研究所 稲盛記念館3F小会議室Ⅱ
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html
GCOEイニシアティブ4とイニシアティブ2(人為攪乱研究会)との共催です。
発表者1
平井將公(京都大学東南アジア研究所GCOE研究員)
タイトル:「人口稠密地域における自然利用の技術と制度―セネガルのセレール 社会の事例」
発表者2
村尾るみこ(日本学術振興会特別研究員PD)
タイトル:「ザンビア西部州における生計活動の再編―移動性の高い女性による 現金稼得から―」
発表内容:
アフリカ大陸の大部分を占める半乾燥地域において、人びとは不安定な自然条件 や、政治・経済環境の激しい変化に生計活動を制約されながらも、それらへした たかに適応してきた側面が少なくない。本研究会では、そうした地域社会の「潜 在力」について自然資源を活用する技術や、社会組織の流動性といった観点から 多角的に検討する。 平井は、人口稠密な地域を長年にわたって保持してきた西アフリカのセレール社 会を取り上げ、その自然利用の特性について考察する。セレールは人口増加や市 場経済化の進行にともなって農牧業を有機的に結合し、またその過程では飼肥料 木の優占する植生を耕地上に形成し、維持してきた。この事例をもとに、自然資 源の回復力を最大限に引き出しながら、生産性を高め、社会変化に対応する半乾 燥地の農業について考える。 村尾は、南部アフリカの農村における「紛争避難民」の生計維持活動について報 告する。Displacementは、生計破綻の要因として論じられることが多いが、しか しアフリカ社会においては、人口の移動性がむしろ環境制約下での生計維持を可 能にしている局面も少なくない。村尾はさらに「移動性」の別の側面、すなわち 頻繁に結婚・離婚を繰り返しながら村を出入りする女性たちに注目することで、 流動性の高い社会における女性の生計維持の問題について検討する。
【活動の記録】
アフリカの半乾燥地域では、暮らしにかかわる生態・社会・経済のいずれの要素をとっても不確実性が高い。本研究会では、そうした地域に暮らす人びとが、生計を維持するうえでの制約をいかに克服しているのかについて、西アフリカのセネガルと南部アフリカのザンビアの事例から検討された。
一人目の発表者の平井は、セネガル中西部において人口稠密な地域を保持してきた、農耕民セレールの資源利用の持続性について技術と制度の観点から検討した。報告によると、セレールは土地不足を重要課題としてきたが、彼らは農業と牧畜を耕地内で結合させ、また飼肥料木として知られるFaidherbia albidaが優占する人為植生を耕地に形成することで、土地生産性を高めて対処してきた。しかし、飼料や燃料として消費されるこのF.albidaもまた、近年、人口増加との関連から稀少化の傾向にあるという。そこで、人びとは切枝技術(pollarding)やその運用にかかわる社会制度を精緻化しながら、F.albidaの利用を持続化させている。また、F.albidaの大規模な枯死が招かれないのは、技術や制度の精緻化だけでなく、生計における同種の重要性や価値が成員間で共有されている点にも基づいていると指摘された。半乾燥地域では、人間による植物利用が砂漠化の原因とされがちだが、セレール社会が例示するのは、むしろ土地や植生への積極的な人為介入こそが、植生環境を維持しうるということであった。
これに対し、フロアからは技術や制度の形成過程に関する質問が寄せられた。村落内部における成員間の社会関係や、村落外部との交渉史をふまえながら、今後それを明らかにすることが、農業技術の在来性を理解するうえで課題になると思われた。
二人目の発表者の村尾は、1960年代に始まったアンゴラ内戦を避けてザンビア西部州へ移動した移住民の生計維持について、社会組織の再編と女性の現金獲得活動との関係から検討した。それによると、移住民は親族・婚姻関係に基づく従来の共住単位(limbo)を移住先においても編成していた。さらに今日では従来limbo内で生じなかったキャッサバの不足に対して、limbo内での互酬関係をその外の関係と合わせて使い分けることで、生計を安定化しているという。また、村のほぼすべての世帯の生計を支えるキャッサバ販売は、結婚と離婚を契機としてlimbo間を頻繁に移動する女性が担っていることが指摘された。すなわち、女性の移動とともに、キャッサバの販売をめぐる互助的ネットワークは拡大・縮小を伴い再構築されているのである。これまでの難民研究では移住が生計基盤の崩壊につながると考えられてきたが、それに対し本発表では、そのリスクが移住民女性の流動性と移住民固有の社会組織内外での互酬性ネットワーク再構築によって緩和されていることが示された。
フロアからは、limboのもつ社会的特質や生計保障機能に関する質問が多く寄せられ、今後、互助的ネットワークの拡大と共同体内への貨幣流入との関連性を明らかにすることが、リスク緩和の可能性をより明確にするうえで課題になるとされた。
(文責 平井將公)
日 時:2010年7月7日(水) 15:00~17:00
場 所:京都大学東南アジア研究所稲盛財団記念館 3階小会議室(I)
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html
話題提供者:谷 誠(京都大学 農学研究科 森林水文学分野 教授)
タイトル:
山地河川の水流出量に対する森林利用の影響はどのように評価すべきなのか?
要旨:
大陸規模の平地天然林の破壊や化石燃料枯渇に付随するバイオマス活用が
進む中、日本のような地殻変動帯の浸食されやすい急斜面上の森林利用も
避けられない。そこでは、皆伐や間伐直後の河川流出水の変化を調べるだけ
では不十分で、急斜面上の基岩・土壌・植生システム全体がどのように流出
に寄与していて、人為によりどのように影響を受けるかを包括的に予測する
必要がある。しかし、森林伐採直後の渓流流出量の変化を調べるのに比べて、
基岩・土壌・植生のどの部分が人為によってどのように変化し、水流出過程
をどの程度変えてゆくのかを評価することは容易ではない。本研究では、
自然条件・人為利用経歴の異なる7つの小流域の流出長期観測結果を基に、
降雨などの気象条件をそろえたシミュレーションを行うことと、流出メカニ
ズムを検討することから、この課題に対して検討を行った。その結果、
花崗岩山地は、未熟砂質土壌・森林土壌のいずれの場合も透水性の風化基岩
によって流出が安定しているが、人為利用ははげ山荒廃を招きやすいこと、
中古生層山地は、風化基岩の役割が乏しく流出変動が大きいが、緩和機能を
果たす森林土壌を人為利用によって失うと変動が極端に拡大することが推測
された。山体隆起・風化進行・豪雨という日本の自然環境において、土壌は
生態系のホメオスタシスによって支えられている(根が張らなければ風化物
は基岩上に維持できない)。本研究は、人為利用がホメオスタシスの閾値
を超えた場合に水流出も激変し、越えないように森林を利用すべきである
ことを、具体的に示唆したものと考えている。
主催:GCOEイニシアティブ2班
連絡先:藤田素子
日 時:2010年2月17(水)-19日(金) 8:30~
場 所:FOA, NUOL, Nabong Campus
共 催:Faculty of Agriculture (FOA), NUOL & Center for South East Asian Studies (CSEAS), Kyoto University
ワークショップ開催の趣旨
ワークショップの目的は、伝統農業の教育、研究、開発における再評価です。政府による強力な農業近代化路線は、確かに、東南アジア、南アジアの開発途上国で主食である米の国内自給をほぼ達成させました。一方で、これらの国々では、環境問題や農村コミュニティの「空洞化」の問題の兆候があらわれはじめています。今回のワークショップでは、農村の生存基盤として人々の暮らしを支えてき伝統農業がはぐくんできた、在地の技術としての人々の知恵、村のアイデンティとしての文化、村人の社会のシステムに焦点をあてます。インドのゴウハティ大学地理学科の農業地理の専門家、ミャンマーのイエジン農業大学の栽培学の専門家、インドネシアのハサヌディン大学農学部の農村開発の専門家をラオス国立大学農学部に招き、国際的なネットワークによって多面的に伝統農業にひかりをあてることで、各国の伝統農業の良さを確認しつつ、大学人がいかに伝統農業をまなび大学の研究と教育の現場にいかせることができるかも参加者とともに考えます。伝統農業は単に技術だけでなく、文化や社会の基盤ともなってきたのです。
ワークショップでは、ラオスの村の伝統文化であるラムとよばれる歌と音楽に関しても発表と実演があり、このことを考えます。そして、トヨタ財団のプログラムで実施している集落文化史料館活動を実施している村でPLAを行います。ラオスの村々は今大きく変ろうとしていますが、私たちは、タマサートとよばれる自然とともにある生き方が今後も是非ラオスの人々の規範でありつづけることも願っています。本ワークショップがタマサートにいきることの意義をラオスの関係者が再確認できる機会になればとも願っています。
日 時:2009年11月16日(月)午後1:30-3:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館2階 213号室
(京都大学地域研究統合情報センター2階セミナー室)
発表者: 上田義勝 (京都大学 生存圏研究所)
発表タイトル:導電性木質炭素の電磁環境素材としての利用可能性について
- 電気化学測定を用いた特性計測 -
発表内容:
導電性・電磁シールド性の高い導電性木質炭素材料の特性について紹介し、今後の木質炭素の応用利用に向けて、より詳細な解析が可能になる電気化学測定法について解説を行う。
日 時:2009年11月9日(月) 14:30~16:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館 3階 中会議室
話題提供:小池文人(横浜国立大学大学院 環境情報研究院)
トピック:日本の里山と外来植物
【要旨】
人々が持つ自然のイメージは様々であり,(a)人里離れた人手が入らない場所,(b)意図的に管理されていない個体群・群集・生態系,さらにモデル作りをしているひとから見れば(c)人間を自然の一部としてあつかうことも容易である.(英語には「自然」に対応する用語がないので自然は日本固有の概念か?) 自然をめぐる価値観も大きく変化してきていて,かつてはなるべく人里離れた,なるべく人手の入らない植物群集が良いとされたが(自然度による評価マップ),その後に人間が管理する伝統的半自然景観の価値が強調されるようになった(里山指標種による評価マップ).人間活動が植物群集に与える影響は古くから研究されていて,植物群集のカタログ作りをしている植物社会学では,人手の入らない群集よりも多数の代償植生が記載されている(人間の影響は複雑).かつては人間が自然を改変しても影響が無くなれば自律的に元に戻る(植生遷移)と考えられてきたが,いまでは影響が無くなっても元に戻らないことが多いと考えられるようになった(地域からの絶滅による種子不足,外来生物による不可逆的な生物相の変化,温暖化による環境変化,など).今回は,種子不足や生物相の変化の結果としてどのような群集が成立するのかを予測する研究について述べる.
問い合わせ先:
藤田 素子(東南アジア研究所 GCOE研究員)
fujita[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
日 時:2009年10月30日(金) 15:30~
場 所:東南アジア研究所 稲盛財団記念館3F 中会議室
(京都市左京区吉田下阿達町 46川端通り荒神橋東詰め)
テーマ内容:
タンザニアでは、とくに1980年代の構造調整政策の導入によって市場経済化が進み、農村の人々をとりまく社会経済環境も大きく変化してきた。農村に生活する彼らは、個々の生計あるいは農村全体を維持していくために、一方では既存の慣習を維持しつつ、他方ではそれらの慣習を柔軟に変化させて対応してきている。今回の研究会では、このように変容しつづけているタンザニアの農村における土地利用と労働力確保に関する二つの報告を通し、事例地で観察される農業の現状とその背景にある慣習との関係について発表し、社会経済の変化に応じて地域の慣習がどのように変化あるいは維持されているのかを考察するための話題を提供する。
【話題1】
「タンザニアの山地農村における土地利用とクランを中心とする土地保有との関係について」
山根裕子(名古屋大学農学国際教育教育協力研究センター)
タンザニアの南北のほぼ中央、海岸部の大都市ダルエスサラームから約200km内陸にウルグル山塊と呼ばれる山がある。南北約55km、東西約30kmにわたって展開する山の全域にはルグルと呼ばれるエスニックグループの人々が約300年ほど前から斜面の農業を営みながら暮らしてきた。この山の東側標高600~1300mに展開するキボグワ村にはシナモンやチョウジ、パンの木などの樹木作物から成る叢林的景観が発達した屋敷地がいくつも見られる。一方で、屋敷地の外側に広がる斜面の畑には単年生の主食用作物の栽培がおこなわれており、屋敷地と斜面の畑とでは植えられる作物が大きく異なっていた。本発表では、このような土地の利用の違いがこの村で暮らすルグルの人々のどのような社会文化的背景から生み出されているのかを、母方のクランを軸とする土地の保有の実態との関連を中心に説明したいと考えている。そして、市場経済の浸透が進み変容し続けている現在のタンザニアの農村においてのクランの実態とその意味をこの村の事例を元に考察してみたいと考えている。
【話題2】
「タンザニア農村における労働慣行の変容と農家の生計戦略」
一條洋子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
タンザニアのほぼ中央に位置するドドマ州のドドマ・ルーラル県は半乾燥地域であり、農業生産性は低く、経済水準の低い地域である。この地域の農業では、降雨に合わせた適期の耕起作業や、迅速な除草作業および収穫作業が求められ、往々にして家族労働力ではまかないきれない労働力を外部から確保する必要が生じる。こうした一時的な労働力需要の高まりに対し、かつては「労働交換」が広く採用されていた。労働交換は、現金を持たない小農が相互に家族労働を提供しあう慣行である。他の途上国農村と同様に、事例地においても労働交換は人々が農業を営み生計を維持するために重要な役割を担ってきた。ところが近年では、とくに現金需要の高まりから働き手の“労働交換離れ”が進み、外部労働力確保の手段は賃金雇用に置き換えられる傾向にある。しかしどの農家も一様に賃金雇用によって外部労働力を確保できるわけではない。本報告では、労働交換が衰退していく事例地において、個別農家が生計戦略として労働力調達方法をどのように選択しているのか、またその労働力をどのように利用しているのかについて、文化的背景を考慮しつつ明らかにする。
(会の後に懇親会を予定しております。)
日 時:2009年10月9日(金) 16:00~18:00(研究会終了後、懇親会を予定)
場所:稲盛財団記念館2階213号室 (地域研究統合情報センター・セミナー室)
話題提供:甲山治(京都大学東南アジア研究所)
トピック:変動から見た東南アジア島嶼部の気象の特徴
[内容]
世界各地をカバーする気象情報からは、地球レベルの気象メカニズムの理解に有用ではあるが、地域レベルの実情にあった気象の変動を抽出すること は難しい。一方、地域社会を研究する者の視点からは、地域の気象の変動を地域社会の生業等と関連させながら理解してはいるが、必ずしも、より広域の気象メ カニズムのなかで地域の気象条件を理解しているわけではない。本研究会では、気象学のもつデータや手法をスケールダウンするとともに、地域研究者がもつ地 域の気象およびその利用に関する情報をスケールアップすることで、両者の接合をはかる。それにより、地域社会の気象の変動をさまざまな時間的・空間的範囲 の中で検討し、地域社会の気象と、それを利用した生業活動について考える。
今後対象とする地域(予定):
インド南部、東アフリカ、ベンガル等
日 時:2009年7月23日(木)9:30~11:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 稲森財団記念館小会議室Ⅱ(331号室)
話題提供者:JOKO SULISTYO 氏 (生存圏研究所居住圏環境共生分野, ガジャマダ大学教員)
タイトル:"Status, Prospects and Development Effort of Charcoal in Indonesia"
9月に京都大学生存圏研究所にて博士号取得予定のJOKO SULISTYO氏にお願いしています。今年の秋か冬頃にインドネシア中部で、10日前後で海外フィールド調査(木炭化技術の多目的利用)を予定しており、そのための準備として本研究会を企画しました。JOKOさんの話の前に、簡単な趣旨説明も予定しています。
*この研究会の報告書は、下記英語サイトに掲載しております。
日 時:2009年2月9日(月) 14:30~17:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階大会議室
京都大学G-COE 生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点
アグロフォレストリー研究の世界的な権威,P.K. Ramachandran Nair教授の来日に際し,アグロフォレストリーによる持続的土地利用実現の可能性について講演をしていただくことになりました.生物多様性保全,二酸化炭素排出規制,食料と生物資源をめぐる争奪など,簡単には調和点を見出せない諸問題がひしめくこの地球上で,限られた土地をいかに利用していくのか?アグロフォレストリーを題材に,この問題に関する活発な議論の場を提供できれば幸いです.
招待講演者:P. K. Ramachandran Nair (Florida University)
タイトル:Land-Use System Sustainability: Business as Usual? (土地利用の持続性-ビジネス・アズ・ユージャル
コメンテーター:竹田晋也 (京都大学アジアアフリカ地域研究研究科)
Oekan Soekotjo Abdoellah (東南アジア研究所)
演者紹介:
Prof. Dr. P.K. Ramachandran Nair
フロリダ大学 亜熱帯アグロフォレストリーセンター長 インド生まれ.国際アグロフォレストリーセンター(旧称ICRAF)に勤務後,フロリダ大学へ.国際誌Agroforestry
Systemsのチーフエディターや,Advances in
Agroforestryのエディターを歴任.アグロフォレストリー研究のパイオニアとして国際的に高い評価を受け,数々の賞を受賞するとともに,京都大学(2002年授与)など4つの名誉博士号を授与されている.京都大学には,2000年,農学研究科の招へい教授としても滞在.
詳細についてのご質問はオーガナイザーまで
篠原(生存研)
神崎(農学研究科)
【活動の記録】
Nair氏は複合的な土地利用としてのアグロフォレストリーが持つ潜在的な能力,耕地の劣化を防ぎ,炭素蓄積量を増やし,あるいは作物生産の持続性を保障するといった能力をこの講演の中で具体的に示そうとした.作物と樹木の組み合わせのもたらす相乗的な効果を数多くの具体例をあげて紹介してくれた.さらにアグロフォレストリー農地のもつ環境サービスの一例として,炭素隔離能力についての彼らの最近の研究成果を紹介してくれた.彼は,アグロフォレストリーのような複合的な土地利用が,生産者ならびに環境に多くの利益をもたらすということが,ここ30年ほどの間に徐々に浸透してきたことを指摘した.世界が今日直面している食料安全保障や土壌浸食,砂漠化といった問題に対処するためにも,作物と樹木を組み合わせることによる効果をもっと利用すべき時だと強調した.また,農業と林業は別々に扱われてきた.しかし,この二つは実際の土地利用の中では不可分に織りあわされており,多くの共通の目的を有していると主張した.アグロフォレストリーや他の複合的土地利用システムの原理を,実際の土地利用に取り入れる方策を見出すべき時にあり,ビジネス・アズ・ユージャル,既存の枠組みはもはや選択すべき道ではないと結論した.
この後,二人のコメンテーターがアグロフォレストリーの別の側面を指摘した.竹田はラオスの焼畑停止政策の中で最近導入されたラックカイガラムシ養殖と組み合わされたアグロフォレストリーを紹介した.彼はこのシステムが成功裏に定着した背景には,中国でのラックの需要増大が背景にあり,経済的な背景がアグロフォレストリーの定着に必須の条件であることを指摘した.
Oekan氏は,インドネシアの伝統的なホームガーデンが直面する問題を報告した.農業の商業化は,ジャワ島のホームガーデンのような伝統的な複合的な土地利用を,商品作物の単純な耕地へと置き換えつつあることを紹介し,伝統的な農耕システムが主に経済的な理由により,その存続が危機に瀕しているという現実を強調した.
会場からは,アグロフォレストリーの生産性や経済性に対する正の効果が一般化できるのだろうかという疑問が提示された.また,マクロ経済的な分析が必要だという意見も提示された.
1970年代から,アグロフォレストリーのポジティブな点は多くの研究者によって指摘されてきながら,熱帯の景観の主要な要素とはなりえていない.しかし,Nairが指摘したように,ビジネス・アズ・ユージャルな農業は,気候変動と持続性といった問題が重要性を増す中で,もはや唯一の選択肢ではあり得ない.第2回の世界アグロフォレストリー会議が今年8月にナイロビで開催される.さらなる複合的な土地利用の発展による持続性確保が期待される.
(神崎 護・佐々木綾子)
日 時:2008年11月12日(水) 15:00〜18:00
場 所:東南アジア研究所 共同棟4階セミナー室
話題提供者:
岡本雅美
岡本先生は、水利調整がご専門で、『水利の開発と調整-その地域的研究』(時潮社、上巻は1978年、下巻は1980年)、『利根川の水利』(新沢嘉芽統先生と共著)(岩波書店、1988年)などのご著書があります。一貫して実学を追及する研究姿勢をとってこられ、『利根川の水利』は、研究書という体裁をとっていますが、内容的には建設省(当時)に対して首都圏での渇水を最小限に抑制するための河川管理対策を具体的に提言されたものです。
国際協力機構や世界銀行の要請で、東南アジア、南アジアや中近東においても、利水管理や国際河川の水利調整に関して多くの仕事をされてきました。しかし岡本先生は、海外での仕事は恐々だったと言われます。それぞれの河川には地域性があり、流域社会の歴史的、社会経済的背景を十分に理解しないまま、河川管理の処方箋を書かなければならなかったからです。そこで懇話会では、岡本先生が水利調整の仕事を通じて理解されたアジア諸地域の水利社会を私たち地域研究者にぶつけていただいて、岡本先生の理解の的確さ/不的確さを確認するとともに、水に関する技術と社会の関係性や実践知について議論したいと思います。
みなさまのご参加をお待ちしています。また、懇話会終了後に懇親会をもちますので、こちらにもぜひご参加ください。
問い合わせ:
京都大学東南アジア研究所
河野泰之
【活動の記録】
本懇話会では,世界各地の水利プロジェクトにアドバイザーとして関わり続けてきた岡本氏によって,諸外国の水利や水利調整のあり方について多岐にわたる話題提供が行われた.以下,参加者との議論の中心になった内容の要約である.
熱帯アジアモンスーン地域における水利調整の難しさは雨季と乾季の存在に起因する.雨季には水田への補給灌漑を行う一方で,乾季にも二期(毛)作のための灌漑が行われるため,雨季と乾季の間での水資源配分を考えなければならない.タイのチャオプラヤデルタでは,これに加えて発電用水の存在や受益地の拡大が水利調整をさらに複雑にしている.湿潤地と乾燥地との違いは,実蒸発散量(実際の蒸発散量)と可能蒸発散量(地表面が十分に湿潤な状況下での蒸発散量)との差により説明できる.湿潤地では両者の差が小さく,灌漑が導入されても蒸発散量が増加する余地は少ない.灌漑用に河川から取られた水も,いずれ大部分が河川に還流する.一方乾燥地では両者の差が大きく,灌漑の導入によって実蒸発量が顕著に増加する.灌漑用水として河川から取られた水は蒸発散により大気中に放出され,河川に戻ることはほとんどない,アラル海の問題はこうした背景を有する.参加型灌漑管理(PIM)の導入が世界銀行の融資を受ける必須条件となっている.日本の灌漑管理は参加型灌漑管理の模範とされるが,日本の農村社会はもとより水利を前提としており,農村社会には最初から水利組織が組み込まれていた.さらに日本の水利組織は制度面でも下支えされていた.水の分配を巡る平等性は年貢を村として負担する村請制度の存在に依る所が大きく,日本の水利組織は村請制度に下支えされてきたともいえる.こうした背景のない社会に参加型灌漑管理(PIM)は成り立たない.灌漑のための水利組織は村落共同体とはまったく別個の体系として存在する.いかに強固な村落共同体でも,水利を前提とした組織でない以上,水利に関しては統制力を欠く.
上記に対して出席者からは,各自のフィールドにおける水利調整の事例が紹介されたほか,多雨月数と地形あるいは実蒸発量/可能蒸発量と気温を指標として世界各地の農業の類型化が出来ないかといった提案や,乾季稲作や水利組織の有無によって水利形態の分類が可能ではないかといった提案等がなされた.
(文責者 星川圭介)
要旨:
タイ国北西部山岳地域に散在する村落が、過去数十年に亘り辿った農業形態の
変化過程は、背反的な次の二つの経済活動ベクターのせめぎ合いとして理解す
ると、同過程の特質と課題をより的確に把握し得る。その一つは「自給自足的な
陸稲及び水稲耕作の維持」であり、もうひとつは「換金性作物耕作及び非農家
稼業の導入」である。換言すれば前者は伝統農耕型ベクター、後者は市場志向
型ベクターであり、前記の農業変遷ダイナミズムは両ベクター間の「最適な兼ね
合い(optimum trade-off point)」を模索する山地民の試行錯誤の表れといえる。
これまでカレン山村地域の開発問題は、焼畑循環農耕(タイ語でrai mun wian)
の正当性を掲げた政治的活動を巡る「文化強調主義」と、それに付随する負の
影響を指摘するアンチテーゼ(所謂"Karen Consensus")の「経済強調主義」の
二分対立で議論されてきた。しかし山地農業変遷の現状と課題を理解するため
には、両議論を補完的に考慮する必要がある。
この観点から本考察は、タイ国メーホンソン県内に立地するカレン居住山村五ヶ
村(スゴー:3村、ポー:1村、カヤー:1村)を対象に、カレンの人々の主要四生
業(1)焼畑耕作による陸稲栽培、2)水田耕作による水稲栽培、3)換金性作物
栽培、4)賃金労働従事)に照準を当て、異なる環境における経済活動の諸相を
示す。その上でカレンの人々にとって実践的な生業の方策を探る。
(*会終了後には懇親会を行います。こちらも奮ってご参加ください。)
日 時:2008年6月17日(火)
場 所:東南アジア研究所(東棟2階会議室E207)
発表者:パトリック・コリンズ(麻布大学経済環境研究室)
タイトル:宇宙太陽光発電(SPS)のオペレーショナル・デモンストレーター用レクテナ(受電アンテナ)についての赤道直下の国での現地調査から
発表概要:
1991年の国際SPS研究会で、「SPS2000」という太陽発電衛星のオペレーショナル・デモンストレーターについて、日本人研究者の提案した論文が SPS実現のためのもっとも優れた提案として表彰された。「SPS2000」について、20カ国で多くの研究論文が出版されるほか、プロジェクト提案者である松岡秀雄教授とコリンズ教授は、赤道直下の多くの国を訪問し、SPS実現に向けて研究者や政府の代表と交渉を繰り返した。訪問国は、東南アジアおよびその周辺では、パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、ナウル、キリバス等であった。その結果、各国の代表はこのプロジェクトに関心をしめし、多くのレクテナ(受電アンテナ)を設置するサイトについても検討した。
将来のエネルギー問題と環境問題を根本的に解決するためには、先進国と発展途上国の深い協力関係が必須である。「SPS2000」を実現するためにも、そのことは例外ではない。日本が指導力を発揮し、先端技術の分野で赤道直下の国々との協力を進めることは日本にとって有益である。宇宙からの電波エネルギーのユーザーとして、これらの国々は国際基準を作ることにもなるかも知れない。 エネルギー供給を増やすために中国やインドもSPSに感心を示しているという。また、欧州宇宙局(ESA)はロシアと協力して、クールー宇宙ステーション(仏領ギアナ)という赤道に近い打上所からソユーズロケットを2009年から打ち上げる予定である。これが実現すると、初めて、有人宇宙活動が赤道上軌道で可能となり、「SPS2000」の実現に一歩近づくことになる。
1991年の国際SPS研究会で、「SPS2000」という太陽発電衛星のオペレーショナル・デモンストレーターについて、日本人研究者の提案した論文がSPS実現のためのもっとも優れた提案として表彰された。その実現のためには、赤道上の低軌道宇宙空間に太陽発電衛星を打ち上げ、赤道直下の国や地域に電力を供給しようとするものである。発電用パネルはその後改良が加えられ、レクテナ(受電アンテナ)もワイヤによるメッシュ構造のため、レクテナ設置場所での農業などの土地利用も可能である。「SPS2000」について、世界12カ国で多くの研究論文が出版されるほか、プロジェクト提案者である松岡秀雄教授とコリンズ教授は、赤道直下の多くの国を訪問し、SPS実現に向けて研究者や政府の代表と交渉を繰り返した。訪問国は、タンザニア、パプアニューギニア、ブラジル、インドネシア、エクアドル、モルディブ、マレーシア、コロンビア、ナウル、キリバス、ガボン、サントメ・プリンシペであった。その結果、各国の代表はこのプロジェクトに関心をしめし、 多くのレクテナを設置するサイトについても検討した。
最近の展開として注目すべきは、次の3点である。
1. 技術的な側面からの主要なリスクは、宇宙での発電所の組み立て作業である。しかし、欧州宇宙局(ESA)はロシアと協力して、クールー宇宙ステーション(仏領ギアナ)から、赤道軌道上での有人飛行が可能なソユーズロケットを2009年から打ち上げる予定である。これが実現すると、組み立てのリスクを軽減することができる。
2. 潜在的にエネルギー需要が高いインドと中国にもSPSによる電力供給の対象とすべきである。そのためには、南北の緯度が6度までSPSによる電力供給がカバーされる必要がある。このことは同時に、アフリカの大半の国もカバーすることになるが、技術的な改善が必要である。
3. エネルギーは国家の安全保障に関係があるが、SPS2000のアイデアは、日本による平和的国際貢献に大いに役に立つであろう。とくにヨーロッパやアメリカがSPSにあまり関心を示していない現状では、日本の役割は大きい。
(文責 柳澤雅之)
日 時:2008年5月9日(金)10:30~12:00
場 所:京都大学東南アジア研究所東棟2階会議室(E207)
発表者:
高橋洋(海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター)
発表タイトル:
「東南アジアモンスーン域の降水季節進行:平均場を形成するマルチタイムス ケール現象」
発表の概要:
東南アジアモンスーン域は、明瞭な季節変化をもち、雨季と乾季に分けられる。
雨季には、湿った南西風が卓越し、多量の雨がもたらされる。雨季の中でも、毎日、だらだらと雨が降っているというわけではなく、ある一定のリズムを持って雨が降っている。季節という時間スケールよりも短い幾つかの卓越した周期の変動があり、それらが平均的な季節進行及び降水分布に重要な役割を果たしている可能性がある。
本発表では、平均的な季節進行及び降水分布について、それらを構成する現象に着目し、平均場がどのように形成されているのかを議論したい。
参考文献:
安成 哲三(1990): 「熱帯とモンスーン(第二章)」 『東南アジアの自然(講座東南アジア学第二巻)』
高谷 好一編. 弘文堂, 51-74. 【趣旨】
熱帯域の大規模な降水の季節変化は、熱帯収束帯(ITCZ)と呼ばれる、降水域の南北方向への移動で説明される。ITCZは、太陽放射の南北の季節変化に伴って、大きく見れば、6~8月には北半球に、12~2月には南半球に降水帯が位置する。しかし、衛星画像で世界の降水の季節変化を見ると、帯とよべるような収束帯は見当たらず、ランダムに雲活動が起きているように見える。平均場では、南北の風が収束しているように見えるが、実際には熱帯擾乱活動(台風など)によって小さな(数キロから数千キロ)の降雨活動によって構成される。興味深いことは、ある地点で観測すれば、数日から数週間程度の時間スケールで降雨活動が起こっていることがわかる。インドシナ半島の降水量に関して、数十年にわたる長期変動について、森林減少が降水量の減少につながったとする論文がある。これも、熱帯擾乱、すなわち、台風の襲来数の長期変化によって説明できる可能性がある。また、TRMMなどを利用することで、降水の詳細な日変化の空間分布が明らかになってきた。インドシナ半島の山地部で時間ごとの降水量を見ると、夜間の降水量が多いという特徴も見えてきた。以上のように、さまざまなタイムスケールで降水を評価することで、気候メカニズムのより詳しいメカニズム解明が可能となり、そうした降水条件に基づいた現地の農業生産システムの理解を深めることができる。
【活動の記録】
熱帯域の季節は、年中温暖であるため、主に降水によって特徴づけられる。熱帯域の大規模な降水の季節変化は、熱帯収束帯(ITCZ)と呼ばれる、降水域の南北方向への移動で説明される。ITCZは、太陽放射の南北の季節変化に伴って、大きく見れば、6~8月には北半球に、12~2月には南半球に降水帯が位置する。しかし、衛星画像で世界の降水の季節変化を見ると、帯とよべるような収束帯は見当たらず、ランダムに雲活動が起きているように見える。平均場では、南北の風が収束しているように見えるが、実際には熱帯擾乱活動(台風など)によって小さな(数キロから数千キロ)の降雨活動によって構成される。興味深いことは、ある地点で観測すれば、数日から数週間程度の時間スケールで降雨活動が起こっていることがわかる。北半球夏季東南アジアモンスーンを見てみると、雨季の開始と終了の時点で気候が異なる。とくに熱帯擾乱による降水の影響が大きいことがわかってきた。プレモンスーン期は5~6月に平均的な降水活動と西風モンスーンが始まる前に、雷を伴った非常に強い雨が降ることがある。モンスーン開始期には、インドシナ半島の場合、間歇的に雨季が始まる。その後、6月下旬頃の中休みをへて、モンスーン後半には、熱帯擾乱の活動が活発になる。すなわち、モンスーン域でも、数日から数週間の時間スケールを持った各種擾乱により、雨の日々変動が規定される。西風が降水をもたらすとするモンスーンの従来の説明では、9月の雨を説明できず、これはむしろ、熱帯擾乱が関わっていると考えるべきである。熱帯擾乱の発生から消滅までは数日から数週間のタイムスケールを考える必要がある。
インドシナ半島の降水量に関しては、数十年にわたる長期変動について、森林減少が降水量の減少につながったとする論文がある。これも、熱帯擾乱、すなわち、台風の襲来数の長期変化によって説明できる可能性がある。
また、TRMMなどを利用することで、降水の詳細な日変化の空間分布が明らかになってきた。インドシナ半島の山地部では、夜間の降水量が多いという特徴も見えてきた。以上のように、さまざまなタイムスケールで降水を評価することで、気候メカニズムのより詳しいメカニズム解明と、そうした降水条件に基づいた現地の農業生産システムの理解を深めることが可能となる。
(文責 柳澤雅之)
日 時:2008年4月28日(月)15:00~18:00
場 所:京都大学東南アジア研究所東棟2階会議室
発表者:
甲山 治(G-COE特定助教)
「水熱循環研究からみた自然の変動と潜在力に関する考察」
孫 暁剛(G-COE特定研究員)
「グローバル社会における生業牧畜民の適応戦略:非平衡生態系、脆弱性と持続可能性」
コメント
総合討論
懇親会
【活動の記録】
「グローバル社会における生業牧畜民の適応戦略:非平衡生態系、脆弱性と持続可能性」
「東アフリカ乾燥地域の自然環境の特徴は降雨が少なく、その地域的・季節的な変動が大きく、そして短期と長期的な干ばつがひんぱんに発生することである。またこの地域では、20世紀後半に大規模な開発・援助プロジェクトが実施され、伝統的な生業牧畜がグローバリゼーションや市場経済の影響をつよくうけるようになった。発表者のフィールドワークによって、今日の牧畜民の適応戦略が以下のように明らかになった:①資源(牧草・水場)の共同利用の維持、②多様な資源を効率よく利用して高い移動性の維持、③移動と定住を両立する新たな居住形態の確立、④年齢体系にもとづく分業体制や出自に依拠した協力関係などの社会制度の重視、⑤牧畜を生業の中心に据えながら経済の多角化の模索(家畜市を利用、出稼ぎなど)である。
本発表における主な議論は以下の二点である。①狭義の環境収容力の考えを批判し、動的平衡の概念を用いて牧畜民の適応戦略と持続型生存基盤を再評価すること。②グローバリゼーションや国家の政治経済システムに取り込まれることによって、牧畜社会の脆弱性が増大していること。発表者は、資源に対するアクセス・マネジメント能力の低下によって、災害などの不確実要素に対する防備能力が低下することと、災害によるダメージから回復力が低下することが脆弱性の増大に要因と考えているが、さらなる議論が必要である。
(文責者 孫 暁剛)
日 時:2008年1月18日(金)15:00~16:30
場 所:東南アジア研究所・共同棟4Fセミナー室
【趣旨】
オーストラリアでは80年代からダムに頼らない住民参加型 の水資源管理方式を模索してきた。この流れは90年代になって、「法人化」や統合的流域管理、さらには市場のインセンティブを活用した水利権市場の創設へと展開し、それらが互いに絡み合ってオーストラリア独特の水改革を実現してきている。その展開の特徴や要因について考える。
日 時:2007年11月21日(水) 10:00~12:00
場 所:東南アジア研究所東棟2階会議室
報告
コーディネーター:柳澤雅之
日 時:2007年10月5日(金) 第1部 9:00~10:30 / 第2部 10:30~12:00
場 所:東南アジア研究所(東棟2階会議室E207)
第1部
会議の進行予定表:
1)生存研アカシアプロジェクトについて(矢野)
2)G-COEのプロジェクトについて(河野)
3)イニシアティブ2プロジェクトについて(柳澤)
4)イニシアティブ3プロジェクトについて(水野)
5)様々な問題点と外部資金獲得のための戦略(林)
第2部
会議の内容:
生存研とユニットの研究者と地域研究の研究者との研究交流会
【活動の記録】
はじめに矢野先生から、今までの生存圏研究所の取組みが説明されました。インドネシア・スマトラ島パレンバンにおけるアカシアの産業人工林地におけ る大気観測からアカシアの育種まで、10に上るプロジェクトが簡単に紹介されました。次に、河野先生がG-COEのプロジェクト全般について、そしてイニ シアティブ研究の意義について説明されました。柳澤先生と水野先生は、それぞれイニシアティブ2と3の各プロジェクトをハード面(研究費の配分方法や研究 遂行上の様々なベネフィット、研究成果や会合に関る班員の義務)を中心に話されました。林からは、イニシアティブ3のプロジェクトに関する問題点と外部資 金獲得のための戦略が説明されました。イニシアティブ3はイニシアティブ2の中の人工林に特定した研究活動を通じて実践的文理融合が図れると矢野さんは主 張されました。その主張通り、言葉の上だけで「ああでもない、こうでもない」と議論するより、文と理が実践によって融合できる場を作るべきであると思いま した。
第二部「生存研とユニットの研究者と地域研究の研究者との研究交流会」では、生存研ミッション研究員の藤田さんが人工林の中に棲息する鳥類の生物多様性に 関する研究方針を熱っぽく発表しました。多くの質問、ディスカッション、サジェスチョンが交叉しました。次に、田中先生が、スマトラ島Lampung州の 森林公園に混合樹園地を拓いたコミュニティの活動を報告されました。インドネシア人工林のモデルとなる活動であると思いました。文理研究者相互のパート ナーを見つける、はじめの「出会いの場」となったことと期待しています。
(文責 林 隆久)